2017年01月28日

 持ち家でも保護は可能、車は状況しだい

 生活保護制度については、いろいろと誤解が多く、福祉事務所の職員の中にも間違った説明をする人が結構いるので、困ったものである。
 その1つが「持ち家だと、生活保護を受けられない」というもの。そんなことはない。持ち家に住んでいるときは、処分価値が著しく大きい場合を除き、保有が認められる。
 「自動車を持っていたらダメ」と言われることもあるが、昔と違って、一律にダメではない。クルマについて、かなり厳しいのは確かだが、以前に比べると保有を認められる範囲は広がってきた。障害者の通勤・通院、公共交通の著しく不便な地域での通勤・通院、求職活動に必要な場合などは、条件つきでマイカーを使える。過去に「保護か車か」の選択になって生活保護をあきらめていた人も、再検討してみる余地があるかもしれない。
 持ち家は、そのまま住めるのが原則。アパート・マンション・借家・公営住宅などの場合、家賃や地代は住宅扶助の対象。住宅扶助の上限額は地域ごとに、世帯人数に応じて厚生労働省が決めている。それを超す家賃でも、生活扶助の中から自分でやりくりして負担することは許されるので、「家賃が高いから、先に引っ越さないと保護できない」という説明は間違い。ただし、その状態が長く続く場合は、最低生活費を圧迫するので、住み慣れた住居から引っ越すことによって生活上の問題が生じる事情がなければ、転居を指導される(転居に必要な費用は生活保護から出る)。
 では、持ち家はどうだろうか。住まいは生活に必要なものなので、現に居住している不動産は、生活保護を受けても保有を認めるのが原則。最低生活の維持のために資産を活用しているという解釈である。生活保護の要件である「資産の活用」は、売ることだけではないわけだ。
 では、売却を検討する目安は―。持ち家の売却処分を求められるのは「処分価値が利用価値に比べて著しく大きい」ときである。それに当たるかどうかは、福祉事務所がケース診断会議などを開いて検討する。
 厚労省が示している検討の目安は「標準3人世帯の生活扶助基準額と住宅扶助の特別基準額を合わせた額のおよそ10年分」である。標準3人世帯とは、30代・20代の夫婦と4歳の子の3人暮らし。その福祉事務所の担当地域で最も高い基準額を用いて計算する。
 地域差があるが、2000万〜3000万円ぐらいになる。不動産の価値は、固定資産税評価額(実勢価格の7割ぐらい)で見積もるのが一般的なようだ。これを目安に、ほかの事情も考慮して、売るべきかどうかを総合的に判断する。住宅の価格は昔より下がったので、大都市でも、小さな家なら売らずに済むだろう。生活に困ったときは、あわてて家を売るより、生活保護を考えたほうが賢明かもしれない。
 農業を含めた事業用の土地も、保有を認めるのが原則。田畑は、現に耕作しているか、おおむね3年以内に耕作する見込みがあるときは、処分価値が著しく大きい場合や必要以上に広い場合を除いて、保有を認められる。山林の利用も同様。
posted by GHQ/HOGO at 07:47| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする