2017年01月19日

生活保護費を搾取する貧困ビジネス

「貧困ビジネス」という言葉をニュースでもよく耳にするようになったのはここ 2、3 年のことである。湯浅誠氏は貧困ビジネスを「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」と定義している。
ターゲットにされる貧困層は 幅広く、「ワーキングプア」や「日雇い派遣」、「生活保護受給者」、「ホームレス」、「ネットカフェ難民」、「多重債務者」などが挙げられる。しかもその多くは「ワーキングプア」であると同時に「ネットカフェ難民」など事態は複合化している。労働者供給事業の弊害も「貧困ビジネス」の一部であり、貧困層を対象にしたビジネスは昔から存在していたことがわかる。
それにもかかわらず最近になってメディアで多く取り上げられるようになったのは、貧困層の増加とともに従来とは異なる新たなビジネスモデルが登場したにより「貧困ビジネス」が目に見える形として認識できるようになったためである。
一口に「貧困ビジネス」といってもその中身は多種多様である。
たとえば偽装請負や違法天引きなどはあきらかに非合法な部類にあたる。違法天引きといえば 2007 年当時、人材派遣会社大手であったグッドウィルが「データ装備費」(実際には使い道が不透明)と称 して同社に登録し働いていた労働者の賃金から一労働につき200円を天引きしていた事件 は記憶に新しい。会社側はデータ装備費を任意で徴収していたというが実際には拒否権のない強制的な徴収であった。後にグッドウィルで派遣社員として働いていたスタッフら数 十人が不当に搾取された賃金の返済を求め提訴、昨年和解が成立した。しかし、不当な搾取が行われていた 12 年間の間にグッドウィルに派遣登録していたすべての人々に賃金が返済された訳ではもちろんない。たかが200円と思うかもしれないが、何百万人という登録者がいたことを考えるとその総額は数百億円に上る。メディアで報道されてからこうした天引きを廃止する企業が増えたものの、不当な搾取が人材派遣業界では暗黙の了解として認識されていたことが派遣社員の労働環境の悪さ、弱い立場を物語っているのではないだろうか。当然の報いとも言えるが、真面目に働く人々から姑息な手段で金儲けをたくらんだグッドウィルは会社として何よりも大切な信頼を失い、廃業に追い込まれた。
 こうした中、数ある「貧困ビジネス」のなかで最近キーワードとされているのが「住宅」である。住む所がなくなれば人は無抵抗になる。その弱みにつけこんだ典型例がゼロゼロ物件や無料低額宿泊書、囲い屋と呼ばれるビジネスであり、これらは法的には違法かどう かの判断が難しいグレーゾーンの場合が多く取り締まりが進んでいない現状がある。
 @ ゼロゼロ物件
ゼロゼロ物件とは入居の際に必要な敶金と礼金がいらない物件のことである。場合によっては普通では考えられない保証人不要ということをうたい文句に低所得者を歓迎するような広告をだしている不動産会社も存在する。昔は敶金と礼金をとらない分家賃が高め に設定されていたが、今では通常の相場と変わらない賃貸物件が多い。住居費すら支払うことが困難で「ネットカフェ難民」が増加する中、まとまったお金がなくとも借りられる ゼロゼロ物件は貧困層にとって大きな魅力となっている。
ところが、家賃の支払いが少し遅れただけで部屋の鍵を付け替えられ、締め出された挙句に高額の違約金を取られるというトラブルが増加している。もちろん、あらかじめ契約書をきちんと確認しなかった借り手側にも反省すべき点はある。しかし、初めから支払いが滞ることを予期できる貧困層にターゲットを絞り、ビジネスを展開していることは無視できない。
A 囲い屋
囲い屋とは路上生活者などに自身が保有する住居を提供する代わりに生活保護を申請させ、自治体から支給される生活保護費から家賃などを天引きする業者のことである。家賃だけにとどまらず食事の提供や電気代という名目で保護費の8割近くを天引きする例もあり、実際に申請者の手元に残るお金はほとんどない。
囲い屋のビジネスの手口は実に巧妙である。彼らのターゲットは公園などで生活している路上生活 者だ。そうした人々を対象におにぎりやみそ汁、うどんなど温かい食事を無料で定期的に提供する。その繰り返しによって飢餓感から解放された路上生活者たちは囲い屋に心を許し始め警戒心を解くようになる。そこで住居と食事の提供を約束すると同時に生活保護を申請するように話を持ちかけるのだ。食事という餌をまけば、囲いこむ住人を何人でも釣り上げることができるため、囲い屋は公園のことを「釣り堀」と呼んでいるという。
貧困ビジネスの根底に共通しているもの、それは「とにかくどんな手段を使ってもいい から、取りやすいところからお金を取る」という考えであり、もはや人を人として扱う 尊厳などそこにはないのである。
posted by GHQ/HOGO at 07:41| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする