2015年07月31日

生活保護制度改善への取り組み

 生活保護制度は、1950年制定の生活保護法に基づくものであり、すでに70年近い歴史を有する。しかし、時代や社会が大きく変化しても、大きな制度改正は行われてこなかった。「福祉6法」と並び称された児童福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、あるいは社会福祉事業の基本法といわれる社会福祉事業法がいずれも大改正されたことと比較をすると、生活保護法の「不変性」は際立っている。
 21世紀に入ってから、制度の見直しが着手された。まずは2003年5月、厚生労働省に設置された「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」(以下「専門委員会」という。)である。この委員会は、2004年12月に報告書をまとめた。次いで、2007年10月、「生活扶助基準に関する検討会」が設置され、同年11月に報告書をまとめた。専門委員会報告では、生活保護制度における自立支援の重要性を強調し、「自立支援プログラム」の導入を提言し、その後の施策に結びついた。また、生活保護基準の妥当性の検証・評価も行い、老齢加算及び母子加算の廃止という施策につながった。
 専門委員会が設置された契機は、2000年の社会福祉法制定の際の国会の付帯決議等によるものであった。介護保険制度の創設、社会福祉基礎構造改革と、社会福祉分野で大変革が起きていたときであり、ついに生活保護制度についても抜本的見直しかという期待をもたせた。しかし、就労支援の方法論を具体化したのは評価できるが、社会保障費の伸びの抑制のための材料提示という財政対策の一環となった点も否定できない。
 生活保護制度の改善策として、「入りやすく出やすい制度」への転換を主張する声が関係者からでている。これは大変重要な指摘である。前述した生活保護制度をめぐる数々の問題点や批判は、制度本来の仕組みに由来するものというよりは、制度の運用面に原因があるものが多い。たとえば、「入りにくくしている」最大の要因は、福祉事務所の窓口の対応であるが、保護の申請は生活保護法が保障する権利であり、申請権を侵害するような行為は否定されるべきである。また、要保護者窮迫した状況にあるときには、職権で保護を行うこともできる。
 行政機関が低所得者の救済に向けて、生活保護の運用の姿勢を「前向き」にするだけでも、多くの課題が解決する。種々の理由から収入が生活保護制度の最低生活費以下となったときには、一時的に生活保護を受給し、就労支援等を受けながら自立する(保護の廃止)というように柔軟に制度が活用されるようになれば、「ネットカフェ難民」や「ワーキングプア」に対するセーフティネット機能を十分発揮することができるであろう。
 そのためには、行政機関の体制の充実が不可欠である。職員配置ではきめ細かな制度運営など望むべくもない。社会福祉士こそ福祉事務所のケースワーカーに適任の資格であるが、社会福祉士の養成と地方自治体の職員採用のミスマッチにより、福祉事務所の現場で働く社会福祉士は驚くほど少ない。地方自治体における専門職の採用促進と、あわせて生保業務の一部(たとえば就労支援や家庭訪問、生活指導など)の社会福祉士事務所等への委託促進を図るべきである。福祉事務所において生保事務のすべてを抱える時代ではなくなっている。
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2015年07月30日

悲しき生活保護

 生活保護は、「社会保障の最後のセーフティネット」であり、憲法第25条の生存権の理念を具体化するものとして、極めて重要な制度である。ところが、世評はまったくかんばしくない。
 新聞等のマスコミが生活保護を取り上げるときは、ほとんど次の2つの観点しかない。1つは、生活保護を受けたくても行政の厳しい対応から申請書をもらえない、辞退を強制される等の行政を批判するもの、もうひとつは、所得などの生活実態を偽装して保護を受ける、暴力団関係者が保護を受けている等の不正受給を批判するものである。一般国民がこうした記事をみると、行政も受給者もなんてひどいのだと思い、生活保護制度に不信感を抱くことであろう。
 制度を所管する厚生労働省では、保護費の増大に頭を悩ませる。国の財政状況が極めて厳しいときに、社会保障関係費の5%を占める生活保護国庫負担金の存在は大きい。国の補助金制度を見直した「三位一体改革」の際に、国は負担割合の見直しを議論の俎上にあげたが地方自治体の猛反対にあった。首長からは「生保事務返上論」まで飛び出した。
 地方自治体の福祉事務所の現場では、仕事の難しさと人手不足に悩んでいる。おそらく地方自治体職員の間では、生保担当職は「望まない職場」の上位に入ることだろう。一定数の職員を配置しなければ生保事務を執行できないので、多くの自治体では、役所に入りたての20代の職員を現業員(要援護者の家庭訪問、面接、資産等の調査、生活指導等を行う職員)とする。しかし、人生経験が乏しい若手ケースワーカーが、高齢者や母子家庭等に適切な生活指導を行うことは本来的に無理がある。その上、都市部ではケースワーカー1人あたり80軒の受給世帯を担当することが基準である。ケアマネジャーでさえ1人あたり35人という基準の時代に、80世帯担当となると書類管理がせいぜいとなる。さらに、現業員を指導する査察指導員は、役所の人事ローテーションで福祉事務所に配属される人も多く、現業経験がない者が4分の1以上を占めている。若手現業員に対する指導もおぼつかない。かくして、生保制度は、担当職員の量的・質的双方の問題を抱えている。
 低所得者からみれば生保制度は、「入ることが難しいが、ひとたび入ると出ることが難しい」とみられている。生保の申請は、役所の担当者の「厚い壁」に跳ね返されがちとなる。最近も大阪市で生活保護の相談にいったもののその場で申請ができず、やがて栄養失調状態で孤独死したという記事が新聞に掲載された(読売新聞大阪。1月25日朝刊)。ひとたび適用されると一定の扶助額が毎月支給されるので、生保への依存度を高め、脱却できなくなる。
 研究者からも評判が悪い。生活保護制度が申請主義であること等から、実際には生活保護の適用を受けずに生活している低所得者が大勢存在すると非難される。行政のいわゆる「水際作戦」に対する批判も強い。
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2015年07月29日

生活保護の目的と基本原理

生活保護法第1条に目的が記されている。
「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」
 日本国憲法第25条とは、
「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
 ※憲法25条の生存権の保障を具現化しようとするものが生活保護法。
 生活保護法は最低生活の保障と同時に自立の助長も積極的に図っていくことも目的としている。
【基本原理】
1 国家責任による最低生活保障の原理(国家責任の原理)
  生活に困窮する国民の最低生活保障を国がその責任において行うことを規定している。
 2 無差別平等の原理
  生活困窮者の信条、性別、社会的身分等により優先的または差別的な取り扱いを否定している。
  また、生活困窮に陥った原因による差別を否定している。
 3 健康で文化的な最低生活保障の原理(最低生活の原理)
  最低生活の保障とは、健康で文化的な生活水準を維持することとしている。
 4 保護の補足性の原理
  民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとしている。
  保護に必要な費用が国民の税によって賄われていることから、保護を受けるためには各自がそのもてる能力に応じて最善の努力をすることが先決であるとしている。
 基本原理・原則は覚えておこう。ちなみに原則も4つで、
1 申請保護の原則
2 基準及び程度の原則
3 必要即応の原則
4 世帯単位の原則 
である。
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2015年07月28日

生活保護制度の支給額の引き下げ

 生活保護制度におけるもう1つの問題は、支給額の引き下げである。国は、財政難を理由に、母子加算・老齢加算を廃止し(母子加算は後に復活した)、生活保護基準を引き下げようとする。
 しかし、それはおかしくないか。なぜなら、国が説明する、加算廃止や基準引き下げの理由が、一言で言えば「もっと貧しい人がたくさんいるから」というものだからである。「水際作戦」などのせいで、生活保護基準以下の収入で生活していながらも、生活保護を申請しない、申請できない人が大勢いる。その結果、生活保護利用者以外の中に、生活保護利用者よりも「貧しい」人がたくさんいる、という結果になる。それなのに、「もっと貧しくても生活保護を利用せずに頑張っている人がいるではないか」と言わんばかりに、生活保護利用者と、生活保護を本来は利用すべきなのに利用して(できて)いない人とを比較することには、まったく意味がない。
 生活保護基準は、「これだけあれば健康で文化的な最低限度の生活がおくれる」という文字どおりの最低基準である。それを、「最低基準に満たない人がたくさんいるから」という理由で最低基準を下げるというのでは、本末転倒である。
 日弁連のオルタナティブレポートでは、老齢加算廃止や生活保護基準の切り下げの実態を報告し、これらは、社会権規約が定める後退禁止原則(締約国は権利の実現を「漸進的に達成する」目的を持って行動をとらなければならず、常に権利実現のために「前進」しなければならない。第2条1項参照)に反する、ということを強調した。
 しかしながら、加算廃止や生活保護基準の切り下げについては、具体的な勧告という形にならなかった。それが残念である。ちょうど、国による何度目かの生活保護基準の切り下げの動きが具体的になったのが、本審査が行われる直前であった。日弁連も、委員会に対してタイムリーな情報提供ができなかったことが悔やまれる。これまで、生活保護基準切り下げの動きが出るたびに市民運動で阻止してきたが、ついに国に押し切られる形で、生活保護基準が切り下げられた。最終見解が出された後の2013年8月のことである。その後、2013年12月には、生活保護法の「改悪」も行われてしまったのである。
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2015年07月27日

「水際作戦」による申請抑制

 現在の生活保護制度は、「最後のセーフティネット」と呼ばれる重要な制度であるが、実際の運用は、貧困状態にある人にとって十分な救済制度とは言い難い面がある。
 生活に困窮した市民が生活保護を利用したいと市役所の窓口に行っているのに、「若いんだから、がんばって働いて」「まずは親や兄弟に相談してみて」などと言って申請書を渡さなかったり、「借金がある人は生活保護を受けられないんですよ」などと誤った説明をして追い返したりという違法な「水際作戦」が横行している。
 しかし、生活保護申請は権利である。生活保護の利用は生存権の実現にほかならない。申請を受け付けた上で、調査の結果、要件を満たさない(困窮状態にない)という理由で却下するならともかく、申請すらさせないというのは明らかに違法である。また、窓口でそういった厳しい対応をとられること自体が、申請者の尊厳を著しく傷つけることになる。さらに、生活保護利用者に対する世間の目は、誤解・偏見もあって厳しいものがある。ところが、国は、それを諫めて正しい理解を促すどころか、逆にそれを利用して、生活保護の運用の厳格化を進める有様である。
 
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2015年07月26日

生活保護における資産の保有

 生活保護法第4条において、利用し得る資産・能力その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用することが生活保護の要件として定められている。最低生活の内容としてその所有または利用を容認するに適しない資産は、原則として処分の上、最低生活の維持のために活用しなければならない。
不動産
 原則、保有は否認され、売却、貸与などの方法で最低生活維持のため活用することになる。ただし、世帯の居住の用に供される土地、家屋で、処分価値が利用価値と比べて著しく大きいと認められるものでなければ、保有を容認される。また、世帯の収入増加に著しく貢献する農地、山林も保有が容認される。
自動車
 原則、保有(所有、借用、利用)は否認される。ただし、次のような場合で、自動車による以外に通勤する方法がまったくないか、通勤することが極めて困難な場合、自動車の保有が容認される。
 1. 障害者が通勤する場合
 2. 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通勤する場合
 3. 公共交通機関の利用が著しく困難な地域にある勤務先に通勤する場合
 4. 深夜勤務等の業務に従事している者が通勤する場合
 この場合でも、@当該勤務が自立助長に役立つこと、A自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の自動車であること、B就労収入が自動車の維持費を大きく上回ること、などの条件がある。
保険
 生命保険などの保険は、解約返戻金が出るのであればこれを解約し、「利用し得る資産」として直ちに最低生活維持のために活用するのが原則。ただし、解約返戻金が少額で、保険料額が高くないものについては、保有を容認されることもある。
 学資保険については、解約返戻金が50万円以下で、解約返戻金の使途が世帯内の子の就学に要する費用に充てることを目的としている場合は、保有を容認されることがある。
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2015年07月25日

生活保護で支給される経費

 生活扶助は、基本的には次のように算定される。
 生活扶助 = 最低生活費 − (収入 − 控除)
 収入とは、給与、賞与、年金、恩給、手当、保険金、保証金、慰謝料、資産の売却益、贈与、相続、養育費、仕送り、現物援助、その他一切の収入を言う。
 就労収入の場合、生活保護基準で定められた基礎控除を差し引いた額を収入として認定する。さらに、通勤交通費、健康保険料、雇用保険料などを負担している場合はその実費が控除されます。
(例)
 生活扶助 =  126,470円− ( 63,000円 - 20,000円 ) = 83,470円
 この場合、生活扶助83,470円 + 就労収入63,000円 = 146,470円で1ヵ月を過ごすことになる。
 什宅扶助では、借家の場合、家賃相当額が支給される。ただし、上限がある。家賃が上限を超える借家に住んでいる場合、安い物件に転居するよう指導される。
 教育扶助では、小中学校に通っている子供がいる場合、教育費として毎月基準に定められた金額が支給されます。
 医療扶助・介護扶助では、医療費、薬剤費の全額を福祉事務所が負担する。
 介護サービスにかかる費用は自己負担となっている1割について福祉事務所が負担する(残り9割は保険者が負担)。
 そのほか、 出産扶助、生業扶助、葬祭扶助がある。
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2015年07月24日

生活保護に対する民生委員による調査

 生活保護の申請があると、福祉事務所は要保護者が住む地域の民生委員に対し、調査を依頼する。民生委員は要保護者の自宅を訪問し、聴き取り調査をした上で、福祉事務所に対し、調査意見書を送る。
 調査結果を踏まえて要否判定を行う。生活保護はあらゆる資力を活用しても最低限度の生活ができない場合に受給できる。要保護者世帯の収入が最低生活費を下回れば「保護要」、上回れば「保護否」となる。要否判定は1ヵ月単位で行う。
 要否判定で「保護要」となった場合、「保護開始」と決定される。「保護否」となった場合は、「保護却下」と決定される。決定は必ず書面で通知される。
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2015年07月23日

申請に対する福祉事務所による調査

 福祉事務所は保護の申請を受理すると、要保護者が保護を必要とするかどうかの調査を行う。そして、保護の要否、種類、程度および方法を決定し、申請者に対して書面で通知する。この通知は申請から14日以内にすることになっているが、調査に時間がかかる場合は30日まで延ばすことができる。
資産調査
•銀行口座 金融機関に対し、口座の有無や残高などを照会する。
 •保険 生命保険会社に対し、生命保険、損害保険、医療保険などの有無や契約内容を照会する。
 •自動車 普通自動車、軽自動車の所有の有無を確認。
•年金 年金機構に対し、年金の受給資格の有無、受給額などを確認する。
•不動産 固定資産税の名寄帳を確認し、不動産を所有しているか確認。不動産を所有している場合、さらに法務局で登記を確認。
•給与 就労収入がある場合、雇用主に対して給与額などを照会。
訪問調査
 福祉事務所ケースワーカーが要保護者の自宅に訪問し、要保護者の生活歴、職歴、扶養親族との交流状況などを聴き取り。
扶養調査
 要保護者の扶養義務者に対して、扶養依頼文書を送付。また、扶養義務者の自宅を訪問し、扶養交渉を行うこともある。
病状調査
 要保護者に傷病や障害がある場合、主治医と面接して病状や稼働能力の有無などを確認。
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2015年07月22日

再度、生活保護の申請を考える

申請保護の原則
 生活保護は、要保護者(保護を必要とする者)、その扶養義務者またはその他の同居の親族の申請に基づいて開始される。これを「申請保護の原則」と言う。保護を受けるためには、まず申請をしなければならないのだ。
申請書の提出
 申請は原則、書面で行う(口頭でもOKだったのだが…)。所定の事項を記載した申請書を居住地の福祉事務所に提出する。福祉事務所に申請書の様式が備え付けてあるので、それに書くといい。くれなかったら書式を参照。記載する事項は次のとおりす。
1. 要保護者の氏名および住所または居所
 2.申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名及び住所または居所ならびに要保護者との関係
 3.保護を受けようとする理由
 4.要保護者の資産および収入の状況
 5.要保護者の性別および生年月日
 6.その他必要な事項
 申請書には要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類を添付しなければならない。具体的には、通帳、健康保険証、固定資産税の通知書、自動車の車検証、保険の証書、年金通知、年金加入記録、給与明細書、借金の明細など。
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2015年07月21日

受給者の生きる力と自由を奪う生活保護切り下げ

『テレビの金持ち目線─「生活保護」を叩いて得をするのは誰か』(ベスト新書)で、生活保護バッシングに一石を投じた。筆者の和田秀樹氏は、「私は愛国者だから、生活保護を守らなければならない、と思う。日本が外国にバカにされる国になってはいけない。中国や韓国に負けてはいけないと思っているから、この制度を守らなければならないと思っている」という。
「私自身は、競争は悪いことではない、と思っている。ただし、マラソンがいい例だが、前の人の背中が見えなくなると、後ろの人がまともに走らなくなってしまう。あまり格差が大きくなったり、敗者復活のシステムが用意されていないと、競争に参加する人が少なくなって、国全体の活力を落としてしまう」として、健全な競争社会を維持するためにも生活保護は必要、という立場だ。
さらに、「日本では、1998年から14年間、自殺者が3万人を超していて、40歳前後まで自殺が死因のトップ。生活保護基準が引き下げられるとか、生活保護を受けることへのバッシングが続くのは、危険だ。
うつ病は、落ち込む病気でもあるが、罪悪感を感じる病気でもある。うつ病によって、自分は人に迷惑をかけているのではないか、自分が世の中の邪魔なのではないか、と思ってしまう。今のマスコミがやっているのは自殺幇助。私は、精神科医としてそれを許すわけにはいかない」。
和田氏は、生活保護叩きや生活保護引き下げによって、治安の悪化、平均寿命の低下、健康レベルの悪化、消費不況の悪化、教育レベルの低下、格差社会の固定化、餓死が起きると指摘する。
消費不況の悪化については、次のように指摘する。
「今の不景気の一番大きな理由は、労働分配率が間違っていること。日本は金持ちがケチなので、金持ちに金を渡しても景気がよくならない。その証拠が1999年の金持ち減税だ。このとき、年収3000万円以上の人の最高税率が、65%から50%に下がった。年収1億円の人は、年間1500万円税金が安くなった。月125万円の金持ち手当だ。当時の自民党は、金持ちに金を回せば景気がよくなると説明した。
ところが、金持ちに金を回しても、貯金にまわるだけだった。預金通帳の桁の数が増えることに喜びを感じているような人に金を持たせても、ろくなことはない。ケインズもいうように、消費性向は貧しい人ほど高いのだから、貧しい人に金をまいたほうがよほど景気はよくなる」
「生活保護は、非常に有効な公共事業だ。例えば、公共事業で10兆円の道路工事をして雇用を生もうとしても(土建屋などに金が落ちるため)末端の労働者に流れるのは2兆円程度。うち1兆円程度は、貯金にまわるかもしれない。生活保護は、ほぼそのまま消費にまわる。消費を増やすために公共事業をやるなら、生活保護が一番効率がよい」
利権を生じやすく、経済効果が限られてしまう土建関連の公共事業よりはるかに生活保護の経済効果は有効、という指摘だ。
だが、ここへきて自民党の生活保護プロジェクトチーム(世耕弘成座長)が昨年11月19日にまとめた生活保護法改正案には、食費などについて、自治体が現金給付か現物給付かを選択できる制度の導入が盛り込まれている。現金で給付される保護費を搾取する貧困ビジネスの存在を理由にしているが、結局、生活保護利用者の経済的自由をさらに制限し、生きる力を削いだ上で、新たな利権を作ることになるのではないか。
和田氏も「生活保護を現物支給しよう、という人がいるが、生活保護を受けている家族が、たまの娯楽やレクリエーションのためにディズニーランドに行くのがいけないのか。生活保護を受けているくせにディズニーランドに行くな、カラオケに行くな、という人がいるが、精神的健康のためにお金を使えないというのは、人間を奴隷か家畜と思っているということだ。食べられて、寝るところがあればいい、というのは、懲役、禁固刑と同じ。たまには娯楽を楽しんで、精神的健康を損なわないようにするのが生活保護の理念だと思う」と言う。
また、「生活保護を受給している人が、保護費をもらうとすぐに酒を買ったりパチンコに行くと批判するけれど、食べるのがやっとの状態で酒を買うとかパチンコをするというのは依存症だから。治療が必要な人を叩いてどうするのか」とした上で、アルコール類やパチンコの大量のテレビコマーシャルが依存症を作っている、と批判。多額の広告料に支えられて高給を得ているテレビ局の社員が、生活保護費で酒を買った、パチンコをしたと叩くという構造を重ねて批判した。
和田氏は、福祉や互助、治安対策以外にも、生活保護の積極的意義として、公共投資、安全保障、国のブランド力維持(による日本製品の価格維持効果)、生活を下支えすることによる新産業育成・文化育成などを挙げる。さらに、「累進課税が厳しい方が国は活性化する」として、高所得者の税率を高くする一方で、経費は柔軟に認めるようにすれば、消費が喚起され、世の中にお金がまわるようになる、と説く。
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2015年07月20日

生活保護が高いのではなく、最低賃金が低すぎるのだ!

イギリスやフランスなど時給が1,000円を超えるのは当たり前の諸外国と比較してみても、日本の最低賃金が低いことは以前からずっと指摘されている。グローバル化の国際競争のなかでも、こんなに低賃金で働かせる国は珍しい。その最低賃金と生活保護基準を比較し、それを根拠にさらに「生活保護を下げて、最低賃金を上げない」とするのは愚策というほかない。最低賃金はまだ余裕で引き上げられるし、生活保護基準は高いわけではない。最低賃金で働く労働者は消費意欲も高い。高所得者より低所得者のほうが活発な消費行動をとるとされている。
これらの層に金銭を回らせることが日本経済を立て直す上でも重要だ。最低賃金を上げ、生活保護基準を引き下げない。この方針がいまの日本に必要とされているのではないだろうか。
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2015年07月19日

生活保護基準を引き下げて意図的に「逆転現象」を解消させた厚生労働省

厚生労働省は意図的に「逆転現象」生じさせているが、そうなると「生活保護基準が高すぎる」「働くのがバカらしくなる」という話になる。その通りに議論を進めていくと、不公平だから「生活保護基準を引き下げよう」という結論にいくのだろう。実際に生活保護基準がさまざまなものと安易に比較され、3年間で約10%の生活扶助費が削減された。2015年7月からは、さらに住宅扶助費まで削減(特例措置や経過措置あり)された。これから冬になった場合、暖房費(冬季加算)も削減される。他にもちょこちょこと削減がひっそりと続いている。
そうなるとどうなるのか。
先進諸国と比較して、最低賃金は大して上がっていないにも関わらず、「逆転現象」の解消を図ることができる。筋書き通りである。生活保護バッシングを巻き起こし、国民に「生活保護基準は高い」と叫ばせれば、最低賃金も上げなくて済むし、政策的に介入しなくても済む。そして、労働者の賃金は底上げされていくインセンティヴが働かなくなる。「生活保護基準と比べて、そんなに違いはないから賃金は上げなくてもいいだろう」という意見が容易に出てくる。「生活保護を叩けば、賃金は上がらない」のである。
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2015年07月18日

最低賃金と生活保護基準はそもそも単純に比較するべきものではない

そもそも最低賃金には、生活保護制度のように「最低生活保障」という機能がない。生活保護制度は、憲法25条によって、健康で文化的な最低限度の生活でなければならない水準での保護が要請されている。一方で、最低賃金には、労働者の生活の安定などの目的はあるが、「最低生活保障」の水準でなくてもよい。
最低賃金と生活保護基準は、そもそも機能の違いからも、単純に比較することが間違いなのである。ただ、そうはいっても生活保護基準は一般的に「ナショナルミニマム」と呼ばれ、「国民が最低限度の生活をするためにはいくら必要かを具体的に明らかにしている公的な唯一の指標」であるため、よく比較に利用される。年金支給基準などとも比較されるし、就学援助制度の基準など、多くの社会保障支給基準の比較対象となるものだ。そうであれば、正しく生活保護基準と比較して欲しいのである。
生活保護制度には、先ほど書いたように、8つの扶助があり、医療や介護は現物で支給される。他にも公課禁止(税金免除)など諸権利もある。一方で、最低賃金労働者にはそれら他の給付はないし、年金や健康保険料、税の支払もある。
可処分所得ベースで比較した場合、生活保護世帯の方がはるかに最低賃金労働者の所得を上回るのは当たり前の話である。
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2015年07月17日

「最低賃金」と「生活保護基準」の「逆転現象」は解消されていない! 用いられる「生活保護基準」のウソ 1

厚生労働省は7月15日の中央最低賃金審議会小委員会で、国が定める最低賃金(時給)で働いた場合の手取り収入が生活保護基準を下回る「逆転現象」は起きていないという調査結果を示したそうだ。
毎年、この時期になると最低賃金と生活保護基準を比較して「上がった」「下がった」と一喜一憂する。今年はこの「逆転現象」が解消されたそうだ。だから例年より大きな取り上げ方もされない。「最低賃金が生活保護基準よりも上だったんだからよかったじゃない」で済むのだろうか。「そんなバカな事があるか」と絡んでみたい。このような報道で「最低賃金が上がってよかった」と安堵するなら大間違いだ。
結論から言えば、「最低賃金は依然として低いまま」であり、実質的な生活保護基準と比較したなら、最低賃金の方がはるかに低い。そんなにしてまで、「労働者に賃金を払いたくないのか」と辟易してしまう。 今回は少し彼らの「だまし」の手口の一端を明らかにしてみたい。
最低賃金と生活保護基準はどう比較されているのか?
まず最低賃金は文字通り、人々が働いて得られる最低の収入である。全国平均にすると780円である。この基準で普通に働いた場合(週40時間)として計上される賃金を指す。ただし、ここには祝日や夏季休暇、年末年始休暇などは含まれない。そのため、実際には最低賃金労働者は、この水準通りには働けていない場合も多い。だから、これらの所定の休暇を入れて計算すれば、実質の最低賃金はもっと下がるはずである。他にも最低賃金を意図的に引き上げる算定方式の数々があるが、詳しくは長くなるので触れない。
そして、一方で生活保護基準は8つの扶助がある。このうち、最低賃金と比較対象にされるのは、「生活扶助」と「住宅扶助」の2つである。この2つの金額を合計した基準と最低賃金を比較している。しかし、こちらの算定方式にもカラクリがある。特に住宅扶助基準の算定方式はメチャメチャである。住宅扶助基準の上限額(東京23区では53,700円)で計算されるのではなく、「住宅扶助実績値」という計算方式が採用されている。生活保護受給世帯の住宅扶助相当分を計算して平均した値である。実績値で計算すれば、資産価値がない古い持ち家に住んでいるため、家賃がかかっていない生活保護受給世帯は「0円」となる。これらも含めた平均値であるからデタラメな数字といえる。他にも生活扶助費の算定方法がおかしかったり、生活保護世帯の就労控除が不算入になっていたり・・・。もうとにかく少し公的扶助を研究したら突っ込みどころ満載なのである。難しい話はやめたい。
要するに、この手の話が出てきたら、大事なことは「最低賃金」は高く算定され、「生活保護基準」は低く算定されるように仕組まれている。実生活とは乖離しているにも関わらず。
今回の「逆転現象」が解消したと報道されているのは、この算定方法による前提であり、何ら意味のある資料ではない。しかし、この資料を根拠にして、企業側が何かを主張するのであれば、「最低賃金は低くない。賃金は上げる必要はない。」ということになるだろう。「結論ありきの提言」がこれから企業側より上がってくることを今から予想しておきたい。
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2015年07月16日

憲法25条の本質は?

もともと憲法は、近代市民革命時に、国家が市民生活に干渉させないために生まれたものである。この憲法の本質は古今東西、変わらない。その後、市場経済が発達し、産業革命が起こり、巨大資本が現れた。その結果、「もてる者ともたざる者」との格差が拡大して社会的緊張が生まれ、個人の努力だけでは生きることすらままならない状況に至ったのである。そのような経済的弱者を救済するための人権として、生存権などの社会権が生まれた。
個人がどんなにがんばって努力しても生きることができない。そのことを問題視し、あくまでも1人ひとりが自立するための支援を国家に求めるのが、生存権の本質である。国家に依存することをよしとするものではない。
憲法25条は重要な権利だが、この権利を国家に依存する権利ととらえて強調することで、憲法の本質を歪めることがあってはならない。そうでないと国民は国家の管理下におかれた存在になってしまうおそれすらあるからだ。
そもそも今、問題になっているワーキングプアなどの貧困は、あくまでも、国家によって作り出された貧困なのだ。国家が国民を貧困に導くような理不尽な政策をさせないように、憲法、言論活動、投票行動などを通じて国家をコントロールすることにより防げるものなのである。
25条は、国家に依存して貧困を救済してもらう恩恵的権利というよりむしろ、理不尽な政策や社会構造自体を排除する権利なのだ。自分たちが連帯して力をつけ、悪辣な企業に要求して、自らの権利回復をはかる主張を憲法的に支える武器なのである。そう考えれば、生存権は立憲主義と矛盾するものでないどころか、そのような人権として強く主張することを通じてはじめて十分に実現される人権といえる。
明治憲法の時代は、国家主義つまり国家が何よりも大切であり、国民は天皇を中心とした国家を支えるための家来(臣民)にすぎなかった。国全体がかつての家制度のようなもので、家長である天皇が自分の家族または家来である臣民を守ってあげるのだから、家来は家長のために命を投げ捨てて戦うという発想である。
普段、生活の面倒をみてもらい、精神的にも守ってもらっているという依存関係があったわけだ。臣民は保護の客体であり、統治の客体だった。こうして天皇や国家に依存する精神構造をすべて転換して、私たち1人ひとりが主人公であり、統治の主体である。そして1人ひとりの個人に最高の価値があるとする価値観の転換が行われました。それが現行憲法の国民主権と「個人の尊重」(13条前段)なのだ。
だから、この国民主権の下、私たちは国に依存するのではなく、自分たちが主体となって自分たちの社会を作り上げていく主体性が求められている。何か問題が起こったときに、すぐに行政や国に頼って何かしてもらうのを受け身で待つのではなく、自分たちが主体となって積極的に行動して問題を解決していくことを求められている。 25条もそうした私たちの主体性の現れなのだ。
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2015年07月15日

母子家庭の生活保護で優遇されるポイント

 母子家庭の生活保護で優遇されるポイント 母子家庭の生活保護も基本的な考え方は他の場合と同じだが、特に優遇されるポイントは「母子加算」と「教育扶助」である。
「母子加算」は母子世帯で3歳未満の子供がいる場合に生活保護費が加算される仕組みで、
3歳未満の子供を持つシングルマザーは働き難いことが加算の理由だ。
また,「教育扶助」は義務教育の入学費・学費・教材費・給食費などを支給するもの。
「母子加算」の加算額は児童1人の場合で20,000円〜23,000円程度となっている。また、「教育扶助」の入学準備は小学校で39,500円以内・高校で61,400円以内、教育扶助支援額は月額2,150円〜4,180円、学習支援費は月額2,560円〜4,330円と細かく規定されている。
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2015年07月14日

生活保護以外の母子家庭援助支援策?

 生活保護以外の母子家庭援助支援策 母子家庭で世帯単位の収入が厚生労働大臣の定める最低生活費に満たない場合は、生活保護を受けることができる。
しかし、母子家庭にはさまざまな公的支援制度がある。したがって、生活保護を申請する前に、国や地方自治体の制度を最大限に活用する必要もある。
母子家庭の援助支援策の1つ目は「児童扶養手当」。「児童扶養手当」は母子家庭に市区町村から支給される手当で、父母の離婚の場合・父親が死亡又は生死不明の場合・父親が重度障害の場合・子供が父親から1年以上遺棄された場合・婚姻以外で生まれた子供の場合に子供が18歳に達するまで支給される。
「児童扶養手当」の基本額は児童1人に付き月額41,720円で、2人目の児童は5,000円が加算され、3人目の児童は3,000円が加算される。
 母子家庭の援助支援策の2つ目は「児童手当」で、母子家庭に限らずすべての児童が受け取れる手当てですが所得制限が付いている。支給額は3歳未満の場合は一律月額10,000円で、3歳以上は第2子までは1人に付き月額5,000円、第3子以降は月額10,000円が支給される。そして、「児童手当」は12歳に達するまで支給される。
さらに、文部省の「就学援助制度」は小中学生の給食費・学用品費・修学旅行費が援助される制度で、厚生労働省の「母子家庭自立支援給付金事業」は母親の就業を支援する制度である。
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2015年07月13日

生活保護―これは知っておきたい!

生活保護を受給するためには本当に経済的に困窮しているのかどうかを証明するために一定の条件が定められている。 福祉事務所のケースワーカーが生活保護の受給申請を受付けた後に生活状況を調べて、規定された条件を満たしていれば生活保護を受けられるようになっている。
本来は申請後すぐに保護が受けられるといいのだが、調査に時間を要するには理由がある。 生活保護の受給申請をする人の中には、経済的に困窮していないにも関わらず扶助費をもらおうとする不正受給者がいるためだ。
しかし、その調査によって本当に保護が必要だったにもかかわらず申請が通らずに餓死や自殺に至ってしまうケースもあり問題となっている。 もちろん不正なことはない人は、申請後に生活保護が認められれば、申請した銀行のカードで問題なく、お金をすぐに引き出せるので安心ていい。
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2015年07月12日

世代別の貧困者支援対策が重要だが…

 世代によって必要な政策が分かれてくる。まず子供向けでは特に母子世帯向けの所得保障と就業支援が重要である。また貧困世帯児童向けの教育費用の支援も重要になる。若年・現役者向けには、非正規労働者への支援が重要である。非正規労働者は、国民年金や国民健康保険に加入するケースが多いが、これらの保険料は定額負担の性格が強く、低所得者ほど逆進性が高く、未納率の原因になっている。
 したがって、当面必要な所得再分配政策は、非正規労働者にも正規労働者と同じ社会保険(厚生年金、健康保険)を適用し、将来の生活展望や医療アクセスを保障する、非正規労働者でも将来展望を持って家族を形成できるように、住宅手当、児童手当の加算、子供に対する奨学金を充実させることである。低所得高齢者には、基礎年金制度を補う最低所得保障制度の導入、医療・介護費の保険料、窓口負担の軽減が重要になる。
 さらに全世帯に共通して生活困窮者の生活支援も重要である。就職の失敗や離職に伴う長期無業となり、引きこもるもの、多重債務を抱えるものも増えているが、現在、これに対する支援政策は存在しない。これらの問題は、現金給付だけでは対応できないので、就労支援、生活相談、金銭管理支援などさまざまな生活支援政策を行う必要がある。2015年4月からスタートした生活困窮者支援制度は、このような多様な生活困窮者の生活を包括して支援するまったく新しい仕組みであると言われ、その成否に大きな期待を抱く者もいる。しかし、現実にはどうか…。
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2015年07月10日

成長か分配か―揺れ動く評価 低所得層の大幅所得低下は日本だけ

 生活保護受給者数はほぼ218万人となっており、戦後最多の状況が続いている。生活保護を受給している世帯の約4割が高齢者世帯であるが、増加率に着目すると若い世代の生活保護受給者も増加している。このように貧困問題はより深刻になっているものの、所得再分配か経済成長のいずれを優先すべきなのかという問題は、常に経済政策で大きな論争になり、国民の評価もそのときの社会経済状況で大きく揺れ動いてきた。
 2007年から08年のように生活保護を打ち切られて餓死した高齢者の事件や、リーマンショック後の解雇で仕事と住居を同時に失った人々が日比谷公園に集まり、派遣村が開設されたことなどが報道されると貧困・格差に関心が集まり、再分配政策を支持するようになる。しかし、最近のように生活保護受給者が増加し、不正受給などが報道されるようになると、再分配政策への支持は小さくなる。再分配政策を重視した民主党政権とは異なり、自民・公明連立政権は、経済成長重視を鮮明にしている。
 トリクルダウン政策は、日本でも2000年代前半に雇用規制緩和などを進めた小泉純一郎政権、それに続く(第1次)安倍晋三内閣でも「上げ潮政策」として採用されているが、それが低所得世帯にどのような結果になったかは十分検証されていない。国際的にも過去20年から30年間で、先進国における格差がどのような状況になっているかは重要なテーマになっている。この点について経済開発協力機構(OECD)の “Divided We Stand: Why Inequality Keeps Rising” (2011年) は、1980年代半ばから2000年代後半の期間における所得上位10%の階層と下位10%の階層の実質所得の変化率について、「世帯規模」と「物価水準」を調整した上で、国別に動向を明らかにしている。
 フランスのように下位の所得の成長率が上位の成長率よりも高い国は例外であり、多くの国で、高所得者の所得の成長率は低所得者の成長率よりもはるかに高く、格差は拡大していることが確認できる。それでも低所得者の実質所得の成長率はわずかでもプラス成長であるが、日本のみ低所得者層の所得は実質所得が年平均マイナス0.5%になっている。日本では、低所得層の所得がより大きく低下していることが確認されたことになる。
日本国内での格差・貧困の動向についてもう少しきめ細かく見てみよう。格差・貧困の動向を見るためにはいくつかの指標を組み合わせてみる必要がある。
まず所得の中位値と平均値である。厚生労働省の2013年「国民生活基礎調査」によると、2012年の平均世帯所得は537万円であるが、中位の世帯所得(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は432万円である。中位値より平均の方がかなり高めにでる原因は、高所得世帯の所得が平均を押し上げているからである。そこで中位値の世帯所得の動向に着目すると、世帯人数が減少していることや人口の高齢化が進んだことをも考慮しないといけないものの、1995年は550万円、2000年は500万円、2005年は458万円、2012年432万円というように、約20年間で中位値は120万円程度低下している。
次に2012年の所得分布を見てみよう。全世帯の下位から約2割(19。4%)は世帯収入「0から200万円」にある。中位の世帯所得の半分は216万円であり、これは後ほど触れる相対貧困ラインにも相当するが、それ以下の世帯が20%程度存在することになる。他方、上位から5% (4.8%)が世帯所得「1300万円以上」、同じく上位10%(11.3%)が世帯所得「1000万円以上」の高所得世帯層となっている。したがって、大ざっぱにいうと日本の世帯所得分布は1000万円以上で上位10%、201万円から999万円で中間層70%、200万円以下の低所得者層20%から構成されている。
次に高所得層への集中を明確にするためには、高所得層への占有率に注目する必要がある。OECDのデータベースでは、各国の所得上位層が全所得(課税前)の何パーセントを占有しているか公表している。上位5%の所得層の占有率を見ると、日本は90年代に入って急速に上昇しており、米国の約35%、英国の約30%には及ばないものの、25%に接近している。なお、フランスは21%、スウェーデンは17%であり、決して日本が格差や所得の集中度が低い国ではないことがわかる。
所得分布が格差の大きさを示すのとは別に、貧困の程度を示すものとしては相対貧困率がある。正確には相対貧困水準とは「世帯人数を調整したうえでの中位の所得の半分の所得を相対貧困ライン」と設定し、その相対貧困ライン以下の人の割合と定義される。もう一つの貧困ラインとしては、生活保護制度の定める最低所得水準(以下、生活扶助基準の貧困ラインとする)によるものがある。生活扶助基準からみた貧困ラインは、世帯を構成する家族の年齢や居住地によって異なるので、単に人数調整した相対貧困ラインとは単純比較できない。
しかし、相対貧困ラインからみて貧困世帯とみなされる低所得世帯と生活扶助基準ラインからみて貧困世帯とみなされる世帯は86%重なっていることが確認できている(※1)。従って、相対貧困率の動向は、生活扶助基準以下の貧困率と類似した動きを示すことになる。図2はその相対貧困率の動向を見たものであるが、全体として貧困率は上昇傾向にあり、特に若年世代の貧困率が大きく上昇していることがわかる。一般に、貧困率の上昇は、収入が少ない高齢者数が増加したためであるという指摘もあるが、決して人口要因だけではないことがわかる。
全世帯の格差・貧困率の動向を見てきたが、ここでは世代別の貧困の課題を見てみよう。まず子どもの格差・貧困であるが、これは大人の貧困率の上昇とともに上昇傾向にある。日本の子どもの貧困率は16%であり、先進国でも上位にある。また特に一人親世帯の貧困率は50%であり、先進国でもトップクラスになっている。こうした貧困が子どもに与える影響については、教育水準、健康面で明らかにされている。
教育面については、親の所得階層によって基礎科目の成績で差がでていることや、大学などのへ進学率に差がでていることにより、所得格差と学力、進学機会の格差の関係が明らかになっている。またさまざまなデータが子どもの貧困と貧困の世代間連鎖を明らかにしている。たとえば、少年院における貧困世帯の出身者の率の高さ、生活保護受給世帯出身の子どもが成人後、自らも生活保護受給になる確率が高いこと、養護施設出身の子どもが成人後に生活保護を受ける割合も高いことなどが明らかにされている。
次に若年者・現役世代の格差・貧困を見てみよう。90年代半ばから非正規雇用が拡大し、特に不本意ながら非正規労働者にならざるを得ないという若い世代の増加は、格差・貧困率の上昇、未婚率の上昇の重要な原因になっている。また学校、進学、就職・転職の失敗などをきっかけとする若い世代の引きこもりの増加が大きな問題になっている。
高齢者の格差・貧困の主要因は、低い年金や無年金である。被用者は厚生年金、非被用者(自営業、無職、非正規労働者)は国民年金と加入する年金が分立している日本では、国民年金(基礎年金)のみの高齢者は850万人程度おり、その平均年金額 (月額) は5.5万円であり、生活扶助基準を大きく下回る。また2015年度から初めてスタートするマクロ経済スライドによって、基礎年金の実質水準は今後30年間にわたり約30%程度低下するとされている(※3)。今後の高齢者数の増大も考慮すると、膨大な貧困高齢者が発生する可能性もある。
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2015年07月09日

生活保護制度見直しの議論が本格化

生活保護制度見直しの議論が本格化する直接の動機は、3.7兆円まで膨れ上がった生活保護の予算をどうやって抑えるかということと、不正受給の増加をどう防ぐかということだ。しかし、今の論議の仕方には違和感を覚えることも多いだろう。まず、働きたくても働けなくて深刻な困窮状態にある人が、きちんと生活保護を受給できているかという問題が置き去りのままだ。また、生活困窮者を食い物にした生活保護ビジネスなどと、芸能タレントの扶養義務問題を同列に取り上げて、親族の扶養義務を強化しろというような議論につなげるのも問題だ。生活に困っていないのに、生活保護以上に税金で保護されている人々がたくさんいるということも忘れられている。例えば、農家の戸別所得補償や高齢者の医療負担の軽減措置などは、貧しくなくても対象となる。
しかし最大の問題は、働ける世代での受給者が激増していることだ。生活保護を若いときに長期間受給すると、就労意欲が失われて生活保護から抜け出すことが難しくなると言われる。このままでは生活保護は将来にわたって増え続けることになる。以前は65歳未満だと、失業だけでは生活保護が受けられなかったが、リーマンショック後の深刻な事態に対応するため、厚労省の通知によって3年前からこの慣行が事実上なくなった。本来は、失業者がいきなり生活保護に陥るのを防止するための制度(第二のセーフティネット)を準備すべきだったのだが、厚労省が動いたのは問題が深刻化してからだった。失業者が職業訓練を受ける間の生活費を毎月10万円給付したり、さらに必要な資金を無利子融資するという制度だ。訓練を行う団体にも多額の補助金が、就職とは関係なく支払われた。2年で約2兆円もの資金をバラまいたが、その結果は惨憺たるもので、まともな就職にはつながらないし、形だけの訓練を行って大金をせしめる不良業者も多発した。
世論の批判を浴びて就職実績に応じて訓練機関への報酬に差がつくようになった。厚労省の資料では、この制度で訓練をした人たちの就職率は7割前後となっている。しかし、発表資料では、就職先がコンビニのアルバイトなのか正規の雇用なのか、何ヵ月継続雇用されたか、などがまったくわからない。数字自体眉唾ものだ。このままだと、悪い条件でもいいから就職させて実績を上げ、追加報酬を受け取る業者が続出するだろう。訓練生に若干のリベートを払って見掛け上再就職したことにするという不正が出ることも必至だ。この事態を改善するにはどうしたらよいか。厚労省直轄のハローワークの職業斡旋能力は極めて低い。そこで、訓練を請け負う民間組織に、訓練だけでなく就職斡旋までやらせればよい。その上で、失業者の属性(年齢、職歴、技能など)や就職実績(正規か非正規か、給与額、勤続年数)などを追跡調査もして、実績に応じた報酬を支払えば、不正も減るし、効果も格段に上がるだろう。しかし、そのような改革はできそうにない。ハローワークの独占的利権を守るために、職業斡旋に広く民間参入を認めることには厚労省は大反対だし、就職斡旋の結果を厳格に評価する仕組みを作ることも、それをハローワークに適用されると困るので、厚労官僚は反対するだろう。その実現を自民、民主の官僚主導政治に期待しても無理だ。この問題の解決には、第三極を中心にした改革派の政権ができることが必要である。
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2015年07月08日

共産党などが生活保護に肯定的だが…?

生活保護に肯定的であっても、実際には申請までで受給後に職員が引き起こす問題には無関心となる場合が多い。
実際にはない収入を認定したり、受給者が返還したお金を処理せずにそのお金を他の受給者に貸し付けるなどの不適切な行為について、市民から通報があっても取り合わない。つまり職員労働組合から支援受けているからだ。要は申請は権利だとしているので、そこだけ支援すれば問題ないとしているようだ。ここで職員のことを追及すれば選挙の際に影響がでる。
共産党も民主党も、党本部は生活保護に肯定的でも、地方では選挙に有利になるように対応する。つまり生活保護制度についてまともに向き合っている政党はないということになる。
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2015年07月07日

社会保障政策に長期的なビジョンが欠如している!

 生活保護制度だけを見ても厚生労働省の長期的なビジョンが欠如していることは明らかだが、伝統的な場当たり的政策は社会保障政策全体に言えることだ。
例えば、日本の社会保障が北欧のような「高負担・高福祉」国家を目指すことは無理としても、「中負担・中福祉」国家を目指すのか「小負担・小福祉」国家で行くのかのビジョンが明確ではない。従来から政府は「中負担・中福祉」国家を目指していると明言しているのだが、現在の財政状況では将来的には「高負担・小福祉」国家か「中負担・小福祉」国家になることが危惧される。
したがって、医療・介護・年金・就労支援・生活保護を含めた、包括的な社会保障のビジョンとシステム作りが必要となるはずだ。
例えば、民主党が主張していた月額7万円程度の「最低保障年金」や、年金や生活保護を止めて税方式の「ベーシックインカム」を導入することなどが議論されてもいいのではないか。
「ベーシックインカム」とは最低限所得補償の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要な現金を無条件で定期的に支給するという構想を意味する。
つまり、「ベーシックインカム」は国の税収を機械的に国民に分配するだけだから、複雑な行政組織や行政の恣意的な運用の心配がない。
したがって、「ベーシックインカム」は、一見、社会主義システムのように考えられるが、自由主義・資本主義経済体制で行うことを前提にしている。
つまり、「ベーシックインカム」の最大の利点は「小さな政府」で実現できるところで、その意味では「大きな政府」が必要な社会主義システムとは根本的に異なる。
また、現在の日本のような非常に複雑な社会保障システムや、それに関わる官僚体制や多くの公務員が必要なくなることが大きなメリットなのである。
現在の日本のシステムから一気に「ベーシックインカム」に移行することは確かに容易なことではないが、現在の非常に複雑な社会保障システムを運営するために多くの経費が掛かっていることを考えにいれておく必要がある。
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2015年07月06日

生命保険の解約を求められる理由

 生活保護申請をする場合は基本的に、生命保険の解約を求められる。理由としては資産形成が可能になることや、解約返戻金によって生活ができるためといったものが挙げられる。解約返戻金は資産になるので、いったんそのお金で生活し、それでもだめな場合は再び申請をして下さいということになる。
 では、なぜ生活扶助費用で保険料を払ってはいけないかというと、生活保護は税金によるものだからだ。国民が働いて支払っている税金を使って資産形成をすることは、人さまのお金を使って資産形成をしていることになる。したがって生活保護を受給する際は基本的に、生命保険の解約を求められる。
また保険に入るメリットがないことも理由として挙げられる。生活保護では医療費や葬祭の費用もまかなってもらえるため、保険に入るメリットが特別にあるわけではないと考えられている。
 しかし例外的に、生命保険への加入を継続できる場合がある。そのため必ず解約するわけではなく、加入状況によっては福祉事務所に相談をできる。以下のような条件に該当する場合、生命保険の加入を継続させたまま生活保護の受給を受けられる場合がある。
生命保険のうち、終身型の生命保険は解約返戻金があり、養老保険は満期保険金がある。しかし定期型の場合は解約返戻金がない、またはあってもごく少額のため、生命保険の加入を継続させたままにしておける場合がある。
 解約返戻金が少額か否かの判断については「最低生活費」といったものが用いられる。ちなみに生活保護開始時点では、最低生活費の5割以下までは預貯金の保有が認められてる。
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2015年07月05日

被保護者の権利と義務

被保護者の権利
 被保護者の権利 生活保護の受給を認められた被保護者の権利の背景に、「日本国憲法第25条」と「生活保護法」があることは言うまでもない。
したがって、前提条件として、被保護者の個人情報やプライバシーは確実に守られなければならない。つまり、生活保護の申請過程で、個人情報やプライバシーが担当のケースワーカーに開示されるからである。
そして、被保護者は「生活保護法」に基づきいくつかの権利を得るが、同時に権利とともに義務を負っていることも忘れてはならない。
まず、被保護者の権利の1つ目は、すでに決定された生活保護は正当な理由がない限り変更することはできないことである。つまり、生活保護の受給が決定した後に、理由なく受給が止められることはないのだ。
被保護者の権利の2つ目は、生活保護によって得た生活保護費などに税金が掛かることはないということ。
そして、被保護者の権利の3つ目は、生活保護によって得た生活保護費などを差し押さえることはできないということ。つまり、仮に被保護者に借金があった場合でも、債権者が借金の担保や返済名目として生活保護費などを差し押さえることはできないということである。
被保護者の義務
 被保護者の義務 被保護者の義務の1つ目は生活保護受給権の譲渡禁止で、生活保護の受給の権利を他者に譲り渡すことはできないということ。
被保護者の義務の2つ目は、被保護者は能力に応じて就労に励み支出の節約を図るなどして生活の維持向上に努めなければならないこと。特に、健康であるにも関わらず就労可能な年齢で就労していない被保護者の場合は、生活保護の受給中は常に就労の努力を継続しなければならないのだ。
被保護者の義務の3つ目は届出の義務。届出の義務とは、被保護者の生計の状況や住所・世帯構成などに変更があったときには速やかに担当ケースワーカーに届けなければならないのだ。
被保護者の義務の4つ目は福祉事務所やケースワーカーの指示に従う義務である。生活保護の受給中は被保護者に対してさまざまな指導や指示が行われる。例えば、ケースワーカーの家庭訪問を受けることもあるし、医師や歯科医師の検診を指示される場合もある。また、救護施設等への入所を指示されることもある。このような場合に被保護者は福祉事務所やケースワーカーの指示に従わなければならない。
被保護者の義務の5つ目は費用の返還義務である。仮に、本来、生活費に充当できる資産がありながら生活保護費を受給していた場合、受給された生活保護費は返還しなければならない。悪意による場合だけではなく、支給までに時間が掛かる年金の受給などが該当する場合が多い。
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2015年07月04日

毎月のように生活保護利用者が過去最多を更新する理由

 厚労省が最新の被保護者調査(概数)を公表した。生活保護利用者が過去最多を更新したことを受け、報道もされた。
 NHKニュース:生活保護の受給162万世帯余 過去最多
 47NEWS(よんななニュース):生活保護受給者が最多更新 3月、世帯数も過去最多
 生活保護利用者に関しては、統計法に基づき、毎月、被保護者調査というものが行われている。それが月のはじめに公表されるため、毎月のように上記のような記事が報道されるわけだ。
 厚労省のデータを見ると、2015年3月時点で、生活保護利用者は217万4331人。しかし、世帯類型別にみると、「高齢世帯」が48.7%、「傷病・障害世帯」が27.6%、「母子世帯」が6.5%、「その他世帯」が17.1%と、高齢世帯が全体の約半分なのである。
また、2年前のデータと今回発表されたデータを比べる(2013年3月と2015年3月を比較)と、「高齢世帯」は82,134世帯増、「傷病・障害世帯」は21,381世帯減、「母子世帯」は6,334世帯減、「その他世帯」は11,671世帯減。
 そう、この2年間を見ると、「高齢世帯」しか増えていない。そして、「傷病・障害世帯」、「母子世帯」、「その他世帯」はいずれも減少しており、「高齢世帯」の圧倒的な伸びが全体の生活保護利用者数増につながっている。
 いわゆる稼働年齢層と呼ばれる「その他世帯」の人たちも近年は減少している。「その他世帯」や「母子世帯」は経済状況の影響を受けて増減する。しかし、「高齢世帯」に関しては、経済状況の影響を受けにくいのも事実。
 高齢の人が生活保護を利用するのは、
・年金が少ない(ない)
・資産がない(使い果たした)
・援助してくれる家族や親族がいない(いても扶養能力がないなど)
 という状況に置かれているからであり、年齢的に働くことも難しいため、生活保護から脱却することは難しい。
 そして、この2年間で約8万世帯も増えている「高齢世帯」だが、高齢化の影響を受けて、今後しばらくは増え続けるだろう。つまり、毎月のように「生活保護利用者過去最多」の報道がなされるわけだ。
 低所得高齢者への生活保障の仕組みを考えないと、生活保護利用者は増え続ける。就労支援の強化も重要なアプローチだが、低年金・無年金の高齢者への支援も大きな課題になるのだ。
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2015年07月03日

先進諸外国の公的扶助制度

 先進諸外国の公的扶助制度 先進諸外国の公的扶助制度のポイントは下記の通りで、各国とも非常に似通った制度になっている。そして、生活費や住宅費は殆どが現金給付される制度を採用しているが、その給付金額だけを単純に比較した場合、日本の生活保護の給付額よりも高い国はない。特に、日本の給付額はスウェーデンやフランスの給付額の2倍になっている。
しかし、給付額だけで日本の生活保護の水準が高いとは言い切れない。なぜなら、社会保障全体のシステムの中で、給付と負担を見なければ比較できないからである。 その意味では、「高負担・高福祉」の国と「中負担・中福祉」の国と「小負担・小福祉」の国を一概に比較することは適当ではない。 日本の生活保護の給付額が多いことは確かだが、生活保護受給者の生活水準が必ずしも高いとは言い切れないからである。
・「イギリス」(16歳〜59歳) 生活費は現金給付、住宅・医療・介護は他の制度で対応 全額国庫負担 全国統一基準
・「ドイツ」(年齢制限なし) 生活費と住宅費は現金給付、医療・介護は他の制度で 政府+州+市 州と市は独自
・「フランス」(25歳〜64歳) 生活費は現金給付、住宅・医療・介護は他の制度で 全額県負担 全国統一基準
・「スウェーデン」(18歳〜64歳) 生活費と住宅費は現金給付、医療・介護は他の制度で 全額市の負担 国と市の基準
アメリカの公的扶助制度
 アメリカの公的扶助制度 一般的にアメリカの公的扶助制度の水準はヨーロッパ諸国に比べて高いとは言えないというイメージだが、細かく中身を吟味するとそうとも断言できない。ただ、アメリカの公的扶助制度で言えることは、現金給付ではなく現物給付が主体になっているということである。現在のアメリカの低所得者支援制度は下記の通り。
 ・フードスタンプ 食料品購入補助 年間予算718億ドル
 ・婦人・乳児・子供向け栄養補助プログラム ミルクなどの補助 年間予算67億ドル
・学校給食プログラム 昼食の無料提供 年間予算97億ドル
・住宅選択バウチャー制度 家賃補助 年間予算1,818億ドル
・低額所得者向け医療保険制度 医療保険 年間予算4,014億ドル
 一方で、現金給付であるアメリカの貧困家庭一時補助は1家族当たり年間8,000ドルで、5年間の有期制で就労訓練とボランティアが義務付けられている。
日本の生活保護受給者の1/4は10年以上、半数は5年以上支給を受けているのとは大違いである。
アメリカのこれらのプログラムの特長は、必要な人が必要な時にサービスを受けられるということ。日本のように生活費の最低水準を設定して、それ以下の世帯の生活費を丸抱えするのとは発想が違う。そして、アメリカの公的扶助制度の全てのプログラムに掛かる予算は、国民1人当りで計算すると日本の3倍程度の水準なのだ。
したがって、現金給付の金額だけで単純に比較することは意味のないことと言える。
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2015年07月02日

増える高齢者の生活保護

増える高齢者の生活保護 生活保護の受給者数が2012年7月に212万人の過去最高を突破したが、この背景に高齢者の人口増と高齢者の貧困問題があることは間違いない。年金が十分に貰えない高齢者は働けなくなると生活保護に頼るしかないからだ。
したがって、生活保護受給世帯に占める高齢者世帯の比率も、1980年の30.2%から2006年は50.2%に増加している。また、現在、実数ベースで生活保護を受給している高齢者世帯は約54万世帯で、10年前の約2倍となっている。
例えば、日雇い労働者の街として知られた東京・山谷は、現在、生活保護を受ける高齢者の街に変遷している。かつて日雇い労働者の宿泊施設だった1泊2,000円程度の簡易宿泊所は、現在は生活保護を受ける高齢者で満杯。
そして、山谷の簡易宿泊所に入居できない生活保護の高齢者は、NPOが運営する無料低額宿泊所を探すしかない。
つまり、最も援助が必要な人たちに少ない生活保護費は届いているが、家のない高齢者にとっては生活保護費だけでは暮らしていけないのだ。
政府は無駄な公共投資をするよりも、生活保護を受ける家のない独居老人のための施設を早急に建設すべきなのである。期待できないが…。
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2015年07月01日

現状の生活保護制度

生活保護制度の趣旨と相談・申請窓口
生活保護制度の趣旨は生活に困窮する人に対し困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに自立を支援することである。
そして、生活保護の相談・申請は市・区に在住の場合は市・区が所管する福祉事務所が担当し、町・村に在住の場合は都道府県が所管する福祉事務所が担当している。
したがって、生活保護の相談や受給の申請をする場合は、最寄りの福祉事務所の生活保護担当のケースワーカーに相談することが第一歩となる。
生活保護の要件
生活保護の申請は世帯単位で行われるので、申請を考える場合は世帯員全員の資産や収入などを活用しても最低限度の生活の維持が困難な場合が生活保護の要件となる。
つまり、預貯金がある場合は生活費に充当し土地やマンションなどの不動産や自動車などの動産があれば売却して生活費に充当しても、なお且つ最低限度の生活の維持が困難な場合に生活保護の申請ができるということになる。
また、世帯内で就労可能な人が居る場合は、その能力に応じて就労することが求められる。さらに、年金やその他の制度で活用できるものは、生活保護申請の前に活用することが前提になる。また、親族等から援助を受けることができる場合も、援助を受けることが前提となる。
生活保護の申請は上記の要件を満たした上で、世帯の総収入が厚生労働大臣の定める最低生活費に達しない場合は生活保護が適用される。
生活保護の内容
生活保護で支給される保護費は厚生労働大臣が地域毎に定めた最低生活費から、就労による収入や年金や親族などからの援助を差し引いた差額が支払われる。
地域ごとに定められた最低生活費は地域の物価や生活様式を考慮した級地区分表によって市町村単位で6段階に分けられている。
そして、生活保護の内容は費用を被保護者に実費で支給する生活扶助や住宅扶助・教育扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助などと、事業者に支払われて本人負担がなくなる医療扶助や介護扶助に分かれている。
posted by GHQ/HOGO at 07:17| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする