2019年02月18日

世代別の貧困者支援対策が重要

 世代によって必要な政策が分かれてくる。まず子供向けでは特に母子世帯向けの所得保障と就業支援が重要である。また貧困世帯児童向けの教育費用の支援も重要になる。若年・現役者向けには、非正規労働者への支援が重要である。非正規労働者は、国民年金や国民健康保険に加入するケースが多いが、これらの保険料は定額負担の性格が強く、低所得者ほど逆進性が高く、未納率の原因になっている。
 したがって、当面必要な所得再分配政策は、非正規労働者にも正規労働者と同じ社会保険(厚生年金、健康保険)を適用し、将来の生活展望や医療アクセスを保障する、非正規労働者でも将来展望を持って家族を形成できるように、住宅手当、児童手当の加算、子どもに対する奨学金を充実させることである。低所得高齢者には、基礎年金制度を補う最低所得保障制度の導入、医療・介護費の保険料、窓口負担の軽減が重要になる。
 さらに全世帯に共通して生活困窮者の生活支援も重要である。就職の失敗や離職に伴う長期無業となり、引きこもるもの、多重債務を抱えるものも増えているが、現在、これに対する支援政策は存在しない。これらの問題は、現金給付だけでは対応できないので、就労支援、生活相談、金銭管理支援などさまざまな生活支援政策を行う必要がある。生活困窮者支援制度は、このような多様な生活困窮者の生活を包括して支援するまったく新しい仕組みであるとされているが、さほどの期待感はない。
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2019年02月17日

1人親世帯の貧困率は50%で世界トップクラス

 世代別の貧困の課題だが、まず子供の格差・貧困―これは大人の貧困率の上昇とともに上昇傾向にある。日本の子供の貧困率は16%であり、先進国でも上位にある。また特に1人親世帯の貧困率は50%であり、先進国でもトップクラスになっている。こうした貧困が子供に与える影響については、教育水準、健康面で明らかにされている。
 教育面については、親の所得階層によって基礎科目の成績で差がでていることや、大学などのへ進学率に差がでていることにより、所得格差と学力、進学機会の格差の関係が明らかになっている。またさまざまなデータが子供の貧困と貧困の世代間連鎖を明らかにしている。たとえば、少年院における貧困世帯の出身者の率の高さ、生活保護受給世帯出身の子供が成人後、自らも生活保護受給になる確率が高いこと、養護施設出身の子供が成人後に生活保護を受ける割合も高いことなどが明らかにされている。
 次に若年者・現役世代の格差・貧困を見ると、90年代半ばから非正規雇用が拡大し、特に不本意ながら非正規労働者にならざるを得ないという若い世代の増加は、格差・貧困率の上昇、未婚率の上昇の重要な原因になっている。また学校、進学、就職・転職の失敗などをきっかけとする若い世代の引きこもりの増加が大きな問題になっている。
 高齢者の格差・貧困の主要因は、低い年金や無年金である。被用者は厚生年金、非被用者(自営業、無職、非正規労働者)は国民年金と加入する年金が分立している日本では、国民年金(基礎年金)のみの高齢者は850万人程度おり、その平均年金額 (月額) は5.5万円であり、生活扶助基準を大きく下回る。また2015年度から初めてスタートするマクロ経済スライドによって、基礎年金の実質水準は今後30年間にわたり約30%程度低下するとされている。今後の高齢者数の増大も考慮すると、膨大な貧困高齢者が発生する可能性もある。
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2019年02月16日

相対貧困率と生活扶助基準ライン

 所得分布が格差の大きさを示すのとは別に、貧困の程度を示すものとしては相対貧困率がある。正確には相対貧困水準とは「世帯人数を調整したうえでの中位の所得の半分の所得を相対貧困ライン」と設定し、その相対貧困ライン以下の人の割合と定義される。もう1つの貧困ラインとしては、生活保護制度の定める最低所得水準(以下、生活扶助基準の貧困ラインとする)によるものがある。生活扶助基準からみた貧困ラインは、世帯を構成する家族の年齢や居住地によって異なるので、単に人数調整した相対貧困ラインとは単純比較できない。
 しかし、相対貧困ラインからみて貧困世帯とみなされる低所得世帯と生活扶助基準ラインからみて貧困世帯とみなされる世帯は86%重なっていることが確認できる。したがって、相対貧困率の動向は、生活扶助基準以下の貧困率と類似した動きを示すことになる。全体として貧困率は上昇傾向にあり、特に若年世代の貧困率が大きく上昇していることがわかる。貧困率の上昇は、収入が少ない高齢者数が増加したためであるという指摘もあるが、決して人口要因だけではない。
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2019年02月15日

国際比較から見た格差の現状―低所得層の大幅所得低下は日本だけ

 トリクルダウン政策は、日本でも2000年代前半に雇用規制緩和などを進めた小泉純一郎政権、それに続く(第1次)安倍晋三内閣でも「上げ潮政策」として採用されているが、それが低所得世帯にどのような結果になったかは十分検証されていない。
 国際的にも過去20年から30年間で、先進国における格差がどのような状況になっているかは重要なテーマになっている。この点について経済開発協力機構(OECD)の “Divided We Stand: Why Inequality Keeps Rising” (2011年) は、1980年代半ばから2000年代後半の期間における所得上位10%の階層と下位10%の階層の実質所得の変化率について、「世帯規模」と「物価水準」を調整した上で、国別に動向を明らかにしている。
 フランスのように下位の所得の成長率が上位の成長率よりも高い国は例外であり、多くの国で、高所得者の所得の成長率は低所得者の成長率よりもはるかに高く、格差は拡大していることが確認できる。それでも低所得者の実質所得の成長率はわずかでもプラス成長であるが、日本のみ低所得者層の所得は実質所得が年平均マイナス0.5%になっている。日本では、低所得層の所得がより大きく低下していることが確認された。
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2019年02月14日

成長か分配か―揺れ動く国民の評価

 生活保護受給者数はほぼ220万人となっており、戦後最多の状況が続いている。生活保護を受給している世帯の約4割が高齢者世帯であるが、増加率に着目すると若い世代の生活保護受給者も増加している。このように貧困問題はより深刻になっているものの、所得再分配か経済成長のいずれを優先すべきなのかという問題は、常に経済政策で大きな論争になり、国民の評価もそのときの社会経済状況で大きく揺れ動いてきた。
 2007年から08年のように生活保護を打ち切られて餓死した高齢者の事件や、リーマンショック後の解雇で仕事と住居を同時に失った人々が日比谷公園に集まり、派遣村が開設されたことなどが報道されると貧困・格差に関心が集まり、再分配政策を支持するようになる。
しかし、最近のように生活保護受給者が増加し、不正受給などが報道されるようになると、再分配政策への支持は小さくなる。再分配政策を重視した民主党政権とは異なり、自民・公明連立政権は、経済成長重視を鮮明にして、貧困問題の解決には積極的ではない。
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2019年02月13日

生命と尊厳を守る社会保障の再構築を

 健康保険については、労働者を違法に管理するいわゆる「ブラック企業」の問題も無視できない。ブラック企業で往々にして見られるのが、労働者を「個人事業主」扱いすることで、被用者保険へと加入させることを回避し、労働コストを抑えるといったことである。労働者が国民健康保険に入れば、企業が被用者保険のために保険料の企業負担分を支払う必要もないため、経営上合理的だというのである。ブラック企業裁判の事例でもこうしたことが普通に行われており、労働者は高い保険料を負担せざるを得なくなっていた。自分の保険がどうなっているか、いま一度よく見ておいたほうがいい。
 現在、非正規雇用者の割合は3割を超え、実数では2000万人近くに上っている。これに応じて、若年層の貧困率は年々高くなっているのが現状だ。特に、OECDの調査によれば、各種制度によって所得の再分配が行われた後でも、18〜25歳の若年層は5人に1人程度が貧困状態に置かれており、事態は極めて深刻である。こうした中にあって、日本の社会保障制度は私たちの生活の支えにならず、むしろ格差と貧困を助長する。
 社会保障を、生命と尊厳を守るという理念に立脚し再構築すること、これが今最も必要なことである。若い人が希望を持って生活をおくり、温かい家庭を築くことで社会を再生産していく、そういう国を作らなければならない。
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2019年02月12日

もともと自営業者を対象としていた「国保」

 国民健康保険はもともと、企業で働く労働者ではなく、自営業者を対象にした保険であった。しかし、現在ではその加入者の多くは企業に雇われる「被用者」となっており、「国民健康保険の被用者保険化」が進んでいる。これは、国民健康保険が、企業の健康保険からもれた非正規雇用者層の受け皿となっているためである。「平成24(2012)年度国民健康保険実態調査」によれば、被用者の占める割合は35.2%に上っている。
 国民健康保険には保険料の応益割部分があり、その負担は逆進的である。これは、旧国民健康保険法に国民健康保険が「相扶共済の精神」により運営されると明記されていたこととも関係している。要するに、国民健康保険はもともと、地域の助け合いの観点から制度化されており、地域住民が等しく負担し、サービスに応じて保険料を支払うことが望ましいとされていたのである。
 しかし、その結果、さきほど示した「国民健康保険実態調査」によれば、1000万円以上の所得層にとっては保険料負担の割合がわずか3%程度にすぎない一方で、30万円未満の所得層では19.4%にも及んでいる。加入者層として最も多い100万円以上150万円未満層でも、負担割合は12.1%と極めて高い。こうした応益割の負担が厳しいとのことから負担軽減措置が一応あるが、これが適用されている者はわずかに全体の6.1%しかいない。いくら所得が低くても、ほとんどの者は保険料の支払義務を免れることができない状況なのである。GDP世界第3位のこの豊かな国で、保険を満足に使えず、いわゆる「無保険」状態で死亡していく者が後を絶たないのもこのためである。
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2019年02月11日

背景にあるのは「雇用の劣化」

 やや細かくなるが、厚生労働省の調査によりつつ、この問題にさらに分け入っていこう。
「平成23(2011)年国民年金被保険者実態調査」によれば、国民年金第1号被保険者1737万人のうち、滞納者は何と455万人、割合としては26.2%に上っている。この数字がいかに深刻かは、1996年調査における滞納者172万人(11.0%)という数字と比較すればすぐに分かるだろう。滞納者は、この15年間で何と3倍ほどに膨れ上がっているのである。
この背景には雇用の劣化が著しく進展していることがある。96年度調査の際には、被保険者のうち「臨時・パート」が13.8%であったが、11年度調査では28.3%と、およそ2倍程度になっているのだ。滞納者本人の所得で見ると、100万円未満の者が全体の60%超を占めていることにも驚かされる。
保険料を納付しない理由として、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と答えた者が74.1%と圧倒的に多くいたことは、不安定就業層の拡大と保険料未納者層の増大との関係を裏付けるものである。また、滞納者の多くが単身世帯に身を置いていることは特徴的だ。96年調査において、滞納者のうち単身世帯の割合は11.4%とまだ少数を占めていたにすぎないが、11年調査では39.3%と、およそ4割近くに上っているのである。
 仮に年金に関して保険料を支払い続けられたとしても、将来それが生活の支えになることもない。国民年金の受給額では、月額3〜4万円台を受給する層が、満額(6万6000円程度)を受給する層に次いで多くなっているが(「平成24〈2012〉年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」)、これでどうやって生計を成り立たせればよいというのであろうか。後で示すOECDの調査を見ても、高齢者の貧困率が極めて高く、76歳以上ではおよそ4人に1人が貧困状態に置かれていることが示されているが、これは世界で最も高い水準なのである。
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2019年02月10日

低所得者層ほど負担が重い社会保険

 日本においてなぜ、社会保障制度が貧困をより拡大させてしまうのか。このことについてもう少し詳しく見ていこう。
 2013年度予算に含まれる社会保障関係費の内訳を見てみると、社会保険給付費が全体の75%を占めている。日本の場合、社会保障とは医療保険、年金、介護保険、雇用保険などの社会保険のことを指していることが分かる。言い換えると、日本では、社会保険に加入しないと生活上のリスクに備えることが困難なのである。この場合、次の点を理解することが非常に重要だ。社会保険制度へと加入し、ここから失業や疾病などの際に給付を受けるためには、保険料を支払わなければならないということ。そしてまた、この保険料が人々の支払能力を十分に考慮して制度設計されているわけではないということである。
 このことを、低所得者も多く加入する国民年金や国民健康保険を例に取りつつ見てみよう。年金や健康保険はそもそも、老齢や疾病によって働けなくなった場合に、賃金の代わりに生活の支えとなるよう制度化されたものである。しかし、国民年金や国民健康保険に加入するためには、定額の保険料を支払ったり、「応益割」による負担をしたりしなければならない。「応益割」については説明の必要があるだろう。国民健康保険料は、収入などの負担能力に応じて課せられる「応能割」部分と、収入や資産に関係なく一律に課せられる「応益割」部分で構成されている。要は消費税と同じく、所得がどうあれ同じ地域に住む者は同じだけの保険料を負担する必要があるということだ。国民年金も同様だ。満額で受給するためには、加入者の所得とは無関係に、毎月1万5250円の保険料を40年間支払い続けなければならない。
 しかし、非正規雇用者などの不安定就業層が社会の隅々に広がっている現在の状況では、所得に無関係な定額拠出、応益割の負担は極めて厳しいものとなる。たびたびテレビ、新聞などの報道で保険料未納の問題が取りざたされるが、これは保険料の拠出が、低所得者層ほど負担が重くなるという「逆進性」を持つ以上、生じるべくして生じている事態なのである。
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2019年02月09日

社会保障制度で逆に貧しくなる唯一の国

 社会保障は本来、国民の生命と尊厳を守るためにあるはずだ。このようなことを言えば、何を当たり前のことを、と言われるかもしれない。しかし、社会保障制度があることによって生活がより厳しくなり、困窮状態に追い込まれる国が世界に1つだけある。その国とは実は、私たちが住む国、日本である。
 OECD(経済協力開発機構)がまとめた、社会保障制度による貧困率の削減効果の各国比較がある。これは、「共稼ぎ世帯・単身世帯」と「両親のうち1人が就業する世帯」とに分けて、社会保障によってどの程度、貧困率を小さくできるかを示したものである。日本は、OECD諸国中、社会保障制度の貧困削減効果が最も小さい国が日本なのである。
 さらに、「共稼ぎ世帯・単身世帯」に注目すると、日本の社会保障制度がただ単に貧弱というだけではないことが分かる。日本だけが、「共稼ぎ世帯・単身世帯」において貧困削減効果がマイナスとなっている。数字がマイナスであるということはすなわち、これらの世帯では社会保障制度があることによってかえって貧困が拡大してしまっている、ということである。
 貧困はとりわけ単身世帯において顕著である以上、これは見過ごすことのできない事態である。社会保障制度が本来の目的に反する「逆機能」を持ってしまっているのである。生命がこれほど軽んじられる国も珍しい。
posted by GHQ/HOGO at 07:08| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする