生活保護を受ける1人親世帯に昨年度まで支給されていた「母子加算」を復活させようという動きが活発化している。民主党など野党4党が復活のための生活保護法改正案を参院に提出している。打ち切りで困窮する親たちは「ぜひ復活を」と訴えている。
新潟県長岡市の茅野寿子さん(40)は、高2、中2、中1の子供がいる。3月に会社を解雇され、失業保険と生活保護などの計約20万円で暮らす。昨年からうつ症状になって治療中で、仕事も見つからない。高2の息子は「定時制に転校しようか」「修学旅行には行かない」と気遣う。茅野さんは「子供の将来が狭まってきたようで本当につらい」と話す。
東京都内に住むパート事務の30代女性は、高校と中学に通う子供が3人。月収6万〜10万円で、保護費などを加えた計約25万円で暮らす。都内で育ち盛り3人を抱えて苦しいが、うつ病を患い長時間は働けない。工面して中3の娘を塾に通わせており、『私立高に行かせる金はない』と言っている。
ひとり親の生活保護受給家庭は約10万世帯。都市部で子供1人の場合、母子加算は04年度までは月約2万3000円支給された。
だが、厚生労働省は05年度から段階的に減額して今年度全廃。代わりに就労世帯などに最高月1万円を支給する「ひとり親世帯就労促進費」を創設したが、減額前の母子加算より低く、親が病気などで働けない約4万世帯は対象外だ。
厚労省が廃止の根拠としたのは、社会保障審議会の専門委員会の報告書(04年12月)。生活保護受給母子世帯と、受給していない一般母子世帯を比較し、保護基準が一般母子世帯の消費支出額より高いことなどから「母子加算は必ずしも妥当とは言えない」とした。報告書は「一律・機械的な給付を見直す」とも記したが、「廃止」の文言はない。
専門委の委員長を務めた岩田正美・日本女子大教授は、一般母子世帯で子供1人の場合のサンプル数が32世帯など、サンプル数が少ないことなどから「廃止とまでは報告書に書けなかった」と言う。厚労省は最近、「(保護基準と一般母子世帯の消費支出額の差が)統計的に有意か確認できない」と議員の質問に回答した。専門委員だった布川日佐史・静岡大教授も「間違った根拠と手続き」で廃止されたとして「復活し、検討を再開すべきだ」と主張している。
2009年07月10日
2009年07月09日
南米の外国人労働者を切り捨てるな!
日系ブラジル人など南米の外国人労働者が集中する滋賀県東部で、外国人労働者から相談を受けた個人加盟の労働組合が、相談者らが所属していた外国人中心の県内の派遣会社27社の雇用条件を調べたところ、わずか1社しか労働者を労働保険(労災保険と雇用保険)に加入させていなかったことが分かった。
労使双方で負担する労働保険は加入が法的に義務付けられているが、労組が各社に是正を申し入れたところ、いずれも「労働者が希望しなかった」などと弁明したという。徐々に景気回復の兆しも見え始めたが、いまだに失業手当すら受けとれない外国人もいる。
労組は非正規労働者のための「アルバイト・派遣・パート関西労働組合」(本部・大阪市)。不況が深刻化した昨年秋以降に県内の外国人労働者約130人から労働に関する相談を受け、相談者の雇用契約書を精査したり勤務先に問い合わせたりして雇用条件を調べたところ、県外に本社のある1社を除く全社が労働者を保険に加入させていなかった。「給料から保険料を天引きすると、外国人が集まらなくなる」として、日本人従業員のみ保険に加入させるケースも多かった。交渉すると、大半は雇用開始にさかのぼっての保険加入に応じたが、「保険料に回す資金がない」「健康保険や年金と一緒でないと入れず、労働者の負担も高額になる」などとして応じない社も数社あった。
91年に来日した日系ブラジル人男性(45)は昨年9月、派遣先の同県近江八幡市内の工場で、倒れてきた約200キロのコンクリート金型の下敷きになった。大けがをしたが、翌日、長浜市内の派遣会社から「もう会社にはいらない」と告げられ解雇された。今も胸や背中に痛みが残るが、労災保険未加入のため、病院は会社負担で一度受診したのみだ。失業保険はさかのぼって適用することが可能だったが、手続きが遅れたため受け取れず、現在は生活保護を申請中だ。「私にも日本人の血が流れているのに、日本は冷たい」と唇をかんだ。
労働基準法は労災事故での療養中の解雇を禁じているが、同社の担当者は取材に対し、「解雇は男性の無断欠勤など別の理由からで、休業補償と解雇予告手当を兼ね40万円を支払った」と説明。「外国人を専門に雇う派遣会社はどこも労働者を保険に加入させていない。違法と分かっていても、好況時なら、保険料を天引きすると労働者から不満が出る」と理解を求めた。
同労組は「制度すら知らなかった外国人がほとんど。分からないのをいいことに企業の食い物にされてきた」と指摘する。「再び好景気になれば、また保険なしの雇用が息を吹き返す。同じことを繰り返してはいけない」と話している。
労使双方で負担する労働保険は加入が法的に義務付けられているが、労組が各社に是正を申し入れたところ、いずれも「労働者が希望しなかった」などと弁明したという。徐々に景気回復の兆しも見え始めたが、いまだに失業手当すら受けとれない外国人もいる。
労組は非正規労働者のための「アルバイト・派遣・パート関西労働組合」(本部・大阪市)。不況が深刻化した昨年秋以降に県内の外国人労働者約130人から労働に関する相談を受け、相談者の雇用契約書を精査したり勤務先に問い合わせたりして雇用条件を調べたところ、県外に本社のある1社を除く全社が労働者を保険に加入させていなかった。「給料から保険料を天引きすると、外国人が集まらなくなる」として、日本人従業員のみ保険に加入させるケースも多かった。交渉すると、大半は雇用開始にさかのぼっての保険加入に応じたが、「保険料に回す資金がない」「健康保険や年金と一緒でないと入れず、労働者の負担も高額になる」などとして応じない社も数社あった。
91年に来日した日系ブラジル人男性(45)は昨年9月、派遣先の同県近江八幡市内の工場で、倒れてきた約200キロのコンクリート金型の下敷きになった。大けがをしたが、翌日、長浜市内の派遣会社から「もう会社にはいらない」と告げられ解雇された。今も胸や背中に痛みが残るが、労災保険未加入のため、病院は会社負担で一度受診したのみだ。失業保険はさかのぼって適用することが可能だったが、手続きが遅れたため受け取れず、現在は生活保護を申請中だ。「私にも日本人の血が流れているのに、日本は冷たい」と唇をかんだ。
労働基準法は労災事故での療養中の解雇を禁じているが、同社の担当者は取材に対し、「解雇は男性の無断欠勤など別の理由からで、休業補償と解雇予告手当を兼ね40万円を支払った」と説明。「外国人を専門に雇う派遣会社はどこも労働者を保険に加入させていない。違法と分かっていても、好況時なら、保険料を天引きすると労働者から不満が出る」と理解を求めた。
同労組は「制度すら知らなかった外国人がほとんど。分からないのをいいことに企業の食い物にされてきた」と指摘する。「再び好景気になれば、また保険なしの雇用が息を吹き返す。同じことを繰り返してはいけない」と話している。
2009年07月08日
ワーキングプアの中心は若者と母子家庭
近年よく耳にするのがワーキングプアという言葉だが、多くの母子家庭がワーキングプアとも言われている。
ワーキングプアは正社員並みに働いたり、正社員としてフルタイムで働いたりしても、最低限の生活を維持するのが難しい。多くの人が生活保護の水準を下回る収入しか得ることができていない。現在では年収が200万円以下の労働者が1000万人以上いるのだ。
この背景には人件費削減が関係しており、正社員の雇用が減らされ、パートやアルバイトといった賃金の安い人が採用されるようになったことや、人件費の安い海外に進出する企業が増えたことにある。
年々増えていくワーキングプアの中心は若者と母子家庭である。とくに母子家庭の場合は子供を育てていく上で、収入を得るためにどうしても働く必要がある。しかし子供がいるというだけで、正社員になれないのだ。また子供の体調が悪く、仕事を休んだら解雇されたという話もある。さまざまな要因があるといわれるが、正社員で働くことの厳しい母子家庭では、パートで働く人が多くなってしまう。
その結果、まとまった収入を得ることができなくなり、パートだけでは最低限の生活をする収入を得ることができない。そこで2つの仕事を掛け持ちする人が増えている。2つの仕事をすれば当然労働時間は正社員より長くなる。しかし給料は正社員以下というのが現状なのだ。
ワーキングプアは正社員並みに働いたり、正社員としてフルタイムで働いたりしても、最低限の生活を維持するのが難しい。多くの人が生活保護の水準を下回る収入しか得ることができていない。現在では年収が200万円以下の労働者が1000万人以上いるのだ。
この背景には人件費削減が関係しており、正社員の雇用が減らされ、パートやアルバイトといった賃金の安い人が採用されるようになったことや、人件費の安い海外に進出する企業が増えたことにある。
年々増えていくワーキングプアの中心は若者と母子家庭である。とくに母子家庭の場合は子供を育てていく上で、収入を得るためにどうしても働く必要がある。しかし子供がいるというだけで、正社員になれないのだ。また子供の体調が悪く、仕事を休んだら解雇されたという話もある。さまざまな要因があるといわれるが、正社員で働くことの厳しい母子家庭では、パートで働く人が多くなってしまう。
その結果、まとまった収入を得ることができなくなり、パートだけでは最低限の生活をする収入を得ることができない。そこで2つの仕事を掛け持ちする人が増えている。2つの仕事をすれば当然労働時間は正社員より長くなる。しかし給料は正社員以下というのが現状なのだ。
2009年07月07日
母子加算の復活なるか?
生活保護の母子加算の復活を求めて、第2回「もどせ、母子加算」集会が、国会内で開かれた。主催は、生存権裁判を支援する全国連絡会。参院本会議で可決された母子加算復活法案。衆院での審議は不透明な中、母子加算の復活を求めて生存権裁判をたたかっている母親や不服審査請求した母親らが発言した。
鹿児島市で審査請求した2児の母親(33)は「食事はラーメンや納豆ご飯。生活がぎりぎりで子どもたちの栄養管理もきちんとできていません」と話す。札幌市で生存権裁判をたたかっている女性(46)は「月2万3260円の母子加算がなくなり代わりに、就労促進費が1万円支給されました。それでも1万3000円減りました」と話し、「最低限度の生活を満たすためにも母子加算を戻してほしい」と訴えた。
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が駆けつけ、あいさつ。「母子加算復活の問題は、社会保障を削る小泉改革路線はやめないという、今国会の象徴だ」として、「(母子加算の予算)200億円を復活させることは、改革路線を突破する糸口になるだろう」と運動を激励した。中央社保協の相野谷安孝事務局長は「当事者自らが運動の先頭に立ち上がって世論を動かしてきた。自信をもってさらに運動をすすめていきたい」と話す。
鹿児島市で審査請求した2児の母親(33)は「食事はラーメンや納豆ご飯。生活がぎりぎりで子どもたちの栄養管理もきちんとできていません」と話す。札幌市で生存権裁判をたたかっている女性(46)は「月2万3260円の母子加算がなくなり代わりに、就労促進費が1万円支給されました。それでも1万3000円減りました」と話し、「最低限度の生活を満たすためにも母子加算を戻してほしい」と訴えた。
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員が駆けつけ、あいさつ。「母子加算復活の問題は、社会保障を削る小泉改革路線はやめないという、今国会の象徴だ」として、「(母子加算の予算)200億円を復活させることは、改革路線を突破する糸口になるだろう」と運動を激励した。中央社保協の相野谷安孝事務局長は「当事者自らが運動の先頭に立ち上がって世論を動かしてきた。自信をもってさらに運動をすすめていきたい」と話す。
2009年07月06日
ビルゲイツの発言には重要なポイントが欠けている
ビルゲイツは、社会的責任を果たすことが利益になるというだけでは、貧困にあえぐ地域に食糧を供給し、必要な衣服を提供するのに十分な誘因にならないかもしれない、と警鐘を鳴らしている。また、評価が一種の代替通貨になると言う。「利益が得られない市場では、評価がその代わりになる。利益が見込める市場では、評価はプラスアルファの誘因となる」と話す。
企業幹部にとっては、たぶん祝宴で賛辞を送られる機会も増えるだろうから、けっこうな話かもしれない。しかし、たとえばスプーンメーカーの株を少しずつ保有する(そして全体では株主の大多数を構成する)一般の株主や確定拠出型年金(401K)プランの加入者が、「社会的意識」の高い企業の株を選び、そのわずかな部分を所有することで得られる「評価」に価値を見いだすかといえば、それはわからない。 つまり、ビルゲイツの発言には重要なポイントが欠けているのだ。貧しい国が貧しいままで、市民が命を救う薬さえ手に入れられないのは、裕福な国からの支援が不十分だからではない。
貧しい国がいつまでも貧しいのは、そうした国の政府が堕落していて民主主義的でなく、民衆を抑圧しているからだ。そうした国では財産権が保証されず、起業家を目指す人々が家を担保にして資金を借り受ける機会が失われている。裁判のシステムは機能しておらず、個人どうしで契約を結ぶことが制限されている。外国からの支援金は、堕落した役人によってスイス銀行の口座に隠される(スイス銀行の秘密口座に隠された金額は、サハラ砂漠以南のアフリカだけで、2005年には約1500億ドルあった)。そして、食料援助は国内の農作物の価格を下落させ、地元の農民を苦しめる。
不幸なこれらの国々では、「非創造的資本主義」ではなく、上記のような問題が貧困や悲劇の根本原因となっていることが多い。近代資本主義の父であるアダム・スミスは、200年以上前「国富論」を書いたときすでに、このことを理解していた。
「(企業人は)自分の利益を追求することで、社会の利益そのものを追求しようとするより効果的に、社会の利益を実現できる場合が多い。公共の利益のために交易を行うふりをする人物が、素晴らしい成果を上げたという例を私は知らない」
企業幹部にとっては、たぶん祝宴で賛辞を送られる機会も増えるだろうから、けっこうな話かもしれない。しかし、たとえばスプーンメーカーの株を少しずつ保有する(そして全体では株主の大多数を構成する)一般の株主や確定拠出型年金(401K)プランの加入者が、「社会的意識」の高い企業の株を選び、そのわずかな部分を所有することで得られる「評価」に価値を見いだすかといえば、それはわからない。 つまり、ビルゲイツの発言には重要なポイントが欠けているのだ。貧しい国が貧しいままで、市民が命を救う薬さえ手に入れられないのは、裕福な国からの支援が不十分だからではない。
貧しい国がいつまでも貧しいのは、そうした国の政府が堕落していて民主主義的でなく、民衆を抑圧しているからだ。そうした国では財産権が保証されず、起業家を目指す人々が家を担保にして資金を借り受ける機会が失われている。裁判のシステムは機能しておらず、個人どうしで契約を結ぶことが制限されている。外国からの支援金は、堕落した役人によってスイス銀行の口座に隠される(スイス銀行の秘密口座に隠された金額は、サハラ砂漠以南のアフリカだけで、2005年には約1500億ドルあった)。そして、食料援助は国内の農作物の価格を下落させ、地元の農民を苦しめる。
不幸なこれらの国々では、「非創造的資本主義」ではなく、上記のような問題が貧困や悲劇の根本原因となっていることが多い。近代資本主義の父であるアダム・スミスは、200年以上前「国富論」を書いたときすでに、このことを理解していた。
「(企業人は)自分の利益を追求することで、社会の利益そのものを追求しようとするより効果的に、社会の利益を実現できる場合が多い。公共の利益のために交易を行うふりをする人物が、素晴らしい成果を上げたという例を私は知らない」
ビルゲイツの発言には重要なポイントが欠けている
ビルゲイツは、社会的責任を果たすことが利益になるというだけでは、貧困にあえぐ地域に食糧を供給し、必要な衣服を提供するのに十分な誘因にならないかもしれない、と警鐘を鳴らしている。また、評価が一種の代替通貨になると言う。「利益が得られない市場では、評価がその代わりになる。利益が見込める市場では、評価はプラスアルファの誘因となる」と話す。 企業幹部にとっては、たぶん祝宴で賛辞を送られる機会も増えるだろうから、けっこうな話かもしれない。しかし、たとえばスプーンメーカーの株を少しずつ保有する(そして全体では株主の大多数を構成する)一般の株主や確定拠出型年金(401K)プランの加入者が、「社会的意識」の高い企業の株を選び、そのわずかな部分を所有することで得られる「評価」に価値を見いだすかといえば、それはわからない。 つまり、ビルゲイツの発言には重要なポイントが欠けているのだ。貧しい国が貧しいままで、市民が命を救う薬さえ手に入れられないのは、裕福な国からの支援が不十分だからではない。 貧しい国がいつまでも貧しいのは、そうした国の政府が堕落していて民主主義的でなく、民衆を抑圧しているからだ。そうした国では財産権が保証されず、起業家を目指す人々が家を担保にして資金を借り受ける機会が失われている。裁判のシステムは機能しておらず、個人どうしで契約を結ぶことが制限されている。外国からの支援金は、堕落した役人によってスイス銀行の口座に隠される(スイス銀行の秘密口座に隠された金額は、サハラ砂漠以南のアフリカだけで、2005年には約1500億ドルあった)。そして、食料援助は国内の農作物の価格を下落させ、地元の農民を苦しめる。 不幸なこれらの国々では、「非創造的資本主義」ではなく、上記のような問題が貧困や悲劇の根本原因となっていることが多い。近代資本主義の父であるアダム・スミスは、200年以上前「国富論」を書いたときすでに、このことを理解していた。「(企業人は)自分の利益を追求することで、社会の利益そのものを追求しようとするより効果的に、社会の利益を実現できる場合が多い。公共の利益のために交易を行うふりをする人物が、素晴らしい成果を上げたという例を私は知らない」
2009年07月05日
日本において子供は軽視されている
日本の子供を軽視する姿勢は、明確な数字としてあらわれる。家族関係社会支出の対GDP比はアメリカと最下位を競い合っている(日本は高齢化で子どもが最も少ないのだから当然だと主張する人がいるが、このグラフで見られる大きな差を説明できるものではない)。
2007年に厚生労働省が行った調査で、全国のホームレスの人々の学歴は、中学校卒54.5%、高校卒31.5%、短期大学・専門学校卒2.9%、大学卒5.6%となっている。貧困世帯の子供に低学歴が集中することは、高校や大学の授業料が払えないといった問題だけから派生しているわけではなく、社会経済階層による大きな学力格差が存在する点にも注意する必要がある。
子供の学力の形成を考えた場合、熟や家庭教師などの教育投資を行うことができないという「経済的要因」、家庭において親が子どもの勉強をみたり、ゆとりをもって子育てができないという「ストレス要因」、家庭内に落ち着いて勉強ができる場所がなかったり、居住地域に図書館や公園などの社会資源がないという「環境要因」などさまざまな要因が子供の成長に影響してくる。
東京大学の苅谷剛彦教授が親の社会階層別に高校生の実態調査をしたが、下位階層の学習時間は、上位階層の半分以下しかなく、結果として、学力格差がついてしまう要因と考えられる。貧困世帯に育つ子供の中には、基礎学力さえ身についていない子供が増加している。国の教育政策として、貧困世帯の子どもたちに基礎学力をつけることの重要性を認識すべきだ。
OECDの「PISA調査(学力到達度調査)」では、子供全体の学力が高い国では、学力が一番低い層の子供たちの学力も高い。学力格差の底辺の子供たちの学力向上を図ることは、すべての子供の「学ぶ権利」を保障するとともに、子供全体の学力を底上げすることになる。
「子どもの最低限の生活水準」についてのアンケート調査は1800人を対象にしたものだが、「現在の日本の社会においてすべての子どもに与えられるべきもの」について聞いたところ、いま全世帯の高校進学率は97.5%に達しているのに、アンケート結果では、「希望するすべての子どもが高校に行けるべき」と答えた人は61.5%、「希望するすべての子どもが大学に行けるべき」と答えた人は42.8%しかなかった。 このアンケート結果について、次のように判断できる。子供が希望したとしても、親が貧困なら、高校にも大学にも行けなくても仕方がない―このような最低限の生活水準に対する貧しい価値観であるというのが残念ながら日本の現状といえる。これは、『貧困は自己責任』とする考え方が、親のみならず、その子供にまで浸食しているといえるのかもしれない。
こうした状況で、『教育の平等』や『機会の平等』を訴えても、支持されないはずだ。しかし、『教育の平等』『機会の平等』が支持されない社会とは、どのような社会なのか。不利な状況を背負って生まれてきた子供たちが、そのハンディを乗り越える機会を与えられない社会とは、どんな社会なのか。自らが属する社会の『最低限の生活』を低くしか設定せず、向上させようと意識しないことは、次から次へと連鎖する『下方に向けての貧困スパイラル』を加速させ、結局、社会全体の活力や生活レベルを下げていくことにつながる。まず、この貧しい価値観、この貧しい“『子どもの貧困』を見る目”を改善しなければならない。『子どもの貧困』に対する政治の無自覚は、実は社会の無関心の裏返しでもあるのだ。
2007年に厚生労働省が行った調査で、全国のホームレスの人々の学歴は、中学校卒54.5%、高校卒31.5%、短期大学・専門学校卒2.9%、大学卒5.6%となっている。貧困世帯の子供に低学歴が集中することは、高校や大学の授業料が払えないといった問題だけから派生しているわけではなく、社会経済階層による大きな学力格差が存在する点にも注意する必要がある。
子供の学力の形成を考えた場合、熟や家庭教師などの教育投資を行うことができないという「経済的要因」、家庭において親が子どもの勉強をみたり、ゆとりをもって子育てができないという「ストレス要因」、家庭内に落ち着いて勉強ができる場所がなかったり、居住地域に図書館や公園などの社会資源がないという「環境要因」などさまざまな要因が子供の成長に影響してくる。
東京大学の苅谷剛彦教授が親の社会階層別に高校生の実態調査をしたが、下位階層の学習時間は、上位階層の半分以下しかなく、結果として、学力格差がついてしまう要因と考えられる。貧困世帯に育つ子供の中には、基礎学力さえ身についていない子供が増加している。国の教育政策として、貧困世帯の子どもたちに基礎学力をつけることの重要性を認識すべきだ。
OECDの「PISA調査(学力到達度調査)」では、子供全体の学力が高い国では、学力が一番低い層の子供たちの学力も高い。学力格差の底辺の子供たちの学力向上を図ることは、すべての子供の「学ぶ権利」を保障するとともに、子供全体の学力を底上げすることになる。
「子どもの最低限の生活水準」についてのアンケート調査は1800人を対象にしたものだが、「現在の日本の社会においてすべての子どもに与えられるべきもの」について聞いたところ、いま全世帯の高校進学率は97.5%に達しているのに、アンケート結果では、「希望するすべての子どもが高校に行けるべき」と答えた人は61.5%、「希望するすべての子どもが大学に行けるべき」と答えた人は42.8%しかなかった。 このアンケート結果について、次のように判断できる。子供が希望したとしても、親が貧困なら、高校にも大学にも行けなくても仕方がない―このような最低限の生活水準に対する貧しい価値観であるというのが残念ながら日本の現状といえる。これは、『貧困は自己責任』とする考え方が、親のみならず、その子供にまで浸食しているといえるのかもしれない。
こうした状況で、『教育の平等』や『機会の平等』を訴えても、支持されないはずだ。しかし、『教育の平等』『機会の平等』が支持されない社会とは、どのような社会なのか。不利な状況を背負って生まれてきた子供たちが、そのハンディを乗り越える機会を与えられない社会とは、どんな社会なのか。自らが属する社会の『最低限の生活』を低くしか設定せず、向上させようと意識しないことは、次から次へと連鎖する『下方に向けての貧困スパイラル』を加速させ、結局、社会全体の活力や生活レベルを下げていくことにつながる。まず、この貧しい価値観、この貧しい“『子どもの貧困』を見る目”を改善しなければならない。『子どもの貧困』に対する政治の無自覚は、実は社会の無関心の裏返しでもあるのだ。
2009年07月04日
子供の貧困率?
日本の子供の貧困率は14.3%で、7人に1人の子どもが貧困状態にある(OECD「子ども貧困リーグ」2000年)。小学校や中学校のひとつのクラスに、少なくとも4〜5人の子供が貧困状態にあるということである。具体的には、親2人と子供2人の世帯で年収が手取り276万円以下、親2人と子供1人の世帯で239万円以下、親1人と子供1人の世帯で195万円以下の場合に、子供が貧困状態にあるとされる。
子供の貧困状態にもっとも深刻なダメージを与えているのが、日本における世界一高い教育費だ。
AIU保険の試算によると、子供の食費や衣服費などの基本的養育費および教育費の一人当たりの合計額は、幼稚園から大学まですべて国公立に通ったとしても2,985万円になり、すべて私立に通うと6,064万円もかかる。親2人と子ども1人の貧困世帯の年収は239万円以下である。この貧困世帯で、子供が生まれて大学を卒業するまでの22年間の所得の合計が5,258万円である。この所得は、私立に通う教育費の6,064万円に及ばない。国公立の場合でも、世帯の全体の所得の半分以上を占めることになる。これでは貧困世帯の子供は最初から大学進学をあきらめるほかはない。日本は、すべての教育段階に対する公的な支出は、OECD諸国の中で最低なのだ。
子供の貧困状態にもっとも深刻なダメージを与えているのが、日本における世界一高い教育費だ。
AIU保険の試算によると、子供の食費や衣服費などの基本的養育費および教育費の一人当たりの合計額は、幼稚園から大学まですべて国公立に通ったとしても2,985万円になり、すべて私立に通うと6,064万円もかかる。親2人と子ども1人の貧困世帯の年収は239万円以下である。この貧困世帯で、子供が生まれて大学を卒業するまでの22年間の所得の合計が5,258万円である。この所得は、私立に通う教育費の6,064万円に及ばない。国公立の場合でも、世帯の全体の所得の半分以上を占めることになる。これでは貧困世帯の子供は最初から大学進学をあきらめるほかはない。日本は、すべての教育段階に対する公的な支出は、OECD諸国の中で最低なのだ。
2009年07月02日
福祉事務所で書かされる「辞退届」に要注意
行政処分は、一般市民からの批判が強まりかねないため、福祉事務所によっては、「辞退届け」を書かせて本人が自分の意思で廃止を希望したかのような体裁作りに走る裏ワザも横行している。役所がマスコミなどから批判の矢面に立ったときの、いわばアリバイ作りとも言える。あたかも、本人が自分の都合で保護の辞退を申し出た格好なら文句も出ないと言わんばかりである。
生活保護の廃止処分と自活指導をセットで実施している福祉事務所は多く、実際は経済的自立の目途などないにもかかわらず、「辞退届け」を無理矢理書かせて自活指導と称し、そのドサクサで生活保護を廃止してしまう。
そして結局、生計が破綻して餓死にまで至る事件が頻発していることは、「指導」に名を借りた福祉事務所の職権乱用とさえ言える。昨今、こうした荒業に社会的非難が集中したため、一時の強引な手法は鳴りを潜めているが、これで保護抑制への流れが収まったわけではなく、今後も注意深く見ていく必要がある。
生活保護の廃止処分と自活指導をセットで実施している福祉事務所は多く、実際は経済的自立の目途などないにもかかわらず、「辞退届け」を無理矢理書かせて自活指導と称し、そのドサクサで生活保護を廃止してしまう。
そして結局、生計が破綻して餓死にまで至る事件が頻発していることは、「指導」に名を借りた福祉事務所の職権乱用とさえ言える。昨今、こうした荒業に社会的非難が集中したため、一時の強引な手法は鳴りを潜めているが、これで保護抑制への流れが収まったわけではなく、今後も注意深く見ていく必要がある。
2009年07月01日
ケースワーカーの挑発に乗らない
被保護者は、義務として生活態度の改善や療養生活の維持に努めなければならないとされる。担当のケースワーカーはそうした視点に立って、自分が担当する被保護者を観察し、チェックすることになる。仮に問題点が見つかれば本人に注意し、それが改まるまで改善策を提示していく。
たとえば、定期的に通院すべき病院に行かなかったとき、通院しても医師の指示を守れなかったとき、病院で出された薬の服薬を中止してしまったとき、定期的に申告すべき報告書等を提出しなかったときなど、生活保護の基本的なあり方に背くような姿勢が明らかになれば、早急に改善せよ、と指導の対象となる。被保護者は、口頭や文書などで生活態度の改善や療養専念を指導されるが、なかには安直で強引な指導内容もあり、人生経験豊かでプライドのある人にとっては、それまでの生き方を否定されることでもあり、耐えがたく思うときもあるだろう。
とは言え、ケースワーカーに逆らえば指導指示違反となり、生活保護の停止や廃止も検討されてしまうため注意が必要だ。だから、こんな安っぽい追い込み作戦にはくれぐれも引っかからないでほしい。一見、理不尽に見えるケースワーカーの怒号の中にも、いくばくかのメッセージが隠されているものである。冷静になって、職員の言説の中から、役所のあり様や職員の立場などを探ってみよう。
生活保護がはじまると、自分の担当になるケースワーカーが決まるが、受給者にとって気になるのは彼らとの相性だろう。相談者のケースによって態度や扱いを変える立ち位置の不安定なケースワーカーがいる一方、どのような相談者に対しても厳し過ぎたり、優し過ぎる、硬直的で柔軟性に乏しいケースワーカーも存在するため、注意が必要である。多くの場合、その地域ごとに担当エリアが決まっているため、嫌だと思っても住んでいる場所を変えない限り、居住地を管轄するケースワーカーを変えることはできない。
それにしても、生活保護がはじまったら突然役所の人間が訪ねてくるし、「そんな姿を近所の人に見られたら嫌だ」と思われることもあるだろう。しかし、生活保護を受けているという秘密は、親族や関係機関等を除き秘匿されることになっている。とくに、不特定多数への情報漏洩は犯罪であり、公的責任が問われるものであることから、制度上、被保護者の情報は厳しく管理されている。
たとえば、定期的に通院すべき病院に行かなかったとき、通院しても医師の指示を守れなかったとき、病院で出された薬の服薬を中止してしまったとき、定期的に申告すべき報告書等を提出しなかったときなど、生活保護の基本的なあり方に背くような姿勢が明らかになれば、早急に改善せよ、と指導の対象となる。被保護者は、口頭や文書などで生活態度の改善や療養専念を指導されるが、なかには安直で強引な指導内容もあり、人生経験豊かでプライドのある人にとっては、それまでの生き方を否定されることでもあり、耐えがたく思うときもあるだろう。
とは言え、ケースワーカーに逆らえば指導指示違反となり、生活保護の停止や廃止も検討されてしまうため注意が必要だ。だから、こんな安っぽい追い込み作戦にはくれぐれも引っかからないでほしい。一見、理不尽に見えるケースワーカーの怒号の中にも、いくばくかのメッセージが隠されているものである。冷静になって、職員の言説の中から、役所のあり様や職員の立場などを探ってみよう。
生活保護がはじまると、自分の担当になるケースワーカーが決まるが、受給者にとって気になるのは彼らとの相性だろう。相談者のケースによって態度や扱いを変える立ち位置の不安定なケースワーカーがいる一方、どのような相談者に対しても厳し過ぎたり、優し過ぎる、硬直的で柔軟性に乏しいケースワーカーも存在するため、注意が必要である。多くの場合、その地域ごとに担当エリアが決まっているため、嫌だと思っても住んでいる場所を変えない限り、居住地を管轄するケースワーカーを変えることはできない。
それにしても、生活保護がはじまったら突然役所の人間が訪ねてくるし、「そんな姿を近所の人に見られたら嫌だ」と思われることもあるだろう。しかし、生活保護を受けているという秘密は、親族や関係機関等を除き秘匿されることになっている。とくに、不特定多数への情報漏洩は犯罪であり、公的責任が問われるものであることから、制度上、被保護者の情報は厳しく管理されている。


